94年の歴史に幕 なぜミズノの淀屋橋店に入ると「ワクワク」するのか週末に「へえ」な話(1/4 ページ)

» 2021年06月06日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 1955年に公開された映画『ゴジラの逆襲』(東宝)を見たことがあるだろうか。水爆実験で目覚めたアンギュラスとゴジラが戦うわけだが、個人的に気になったのは場所である。

 大阪の淀屋橋でバトルが繰り広げられ、当時そこにあったビルや地下鉄などが次々に潰されていく。そして、注目は43分のシーンである。「ミズノの本社ビル」(当時、現在は淀屋橋店)が木っ端みじんに破壊されてしまうのだ。

ミズノの淀屋橋店が生まれ変わる

 本社ビルは、1927年に完成する。当時、大阪で7番目の高層ビル(8階建て)として生まれ、建物には「スポーツは美津濃だ」などと書かれた“ふんどし広告”が話題に。バブル時にはゴルフ人口が増えたこともあって、近くで働くサラリーマンが昼休みにお店に立ち寄って、ゴルフボールなどを買っていく姿がよく見られた。

ふんどし広告が話題に

 そんな淀屋橋のシンボルの一つともいえるビルが、94年の歴史に幕を閉じようとしている。ゴジラとアンギュラスの手によって破壊されるわけではなく、再開発事業に伴って、6月30日に閉店する。残念ながら一度は更地になってしまうが、4年後に再び復活する。2025年秋に完成予定のビルの中に、生まれ変わってオープンするそうだ。

当時、リヤカーを取り付けたオートバイで配送していた

 ところで、ミズノの本社ビルはどのような特徴があるのだろうか。「1927年に建てられた」と聞いて、歴史が好き&金融に詳しい人であれば、「まさか……」と思われたはず。この年、昭和の金融恐慌が起きていて、銀行で取り付け騒ぎが起きるほど、とにかく景気が悪かったのだ。そんなご時世にもかかわらず、でっかい建物をつくったので、周囲からは「ミズノさん、本当に大丈夫でっか?」と心配する声もあったそうだ。

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