ネット証券大手のauカブコム証券が、17年ぶりに社長交代した。新社長はKDDI傘下のauフィナンシャルホールディングス専務も務める石月貴史氏だ。一方で、現在の証券事業を取り巻く状況は動きが激しい。現状の見立てと戦略を聞いた。
——現在証券業界は激動のさなかにある。SBI証券が仕掛けた手数料無料化の流れ、ポイント経済圏を活用した楽天証券の躍進、新生銀行グループとの連携を進めるマネックス、FX新サービスなどで若返りを狙う松井証券。また、IFAの増加や金融サービス仲介業も、業界構造を変化させる可能性がある。現在の証券業界の状況について、どう見ているか。
石月氏 まさに激動のさなかにある。ネット証券業界というくくりでは、それでなくても薄い手数料をさらに絞っていくという厳しい競争の中にある。ブローカレッジ(売買手数料)の収入を軸に成長してきた中で、それを削るとなると、その他の部分で収益を見立てなくてはいけない。
各社はいろいろな動きをしていて、代替収益を模索しなくてはいけない。しかし、ブローカレッジ収入を削り込んで他の収益源確保のめどはついているのか。低減化の流れは続くが、すぐに無料化とは思っていない。
代替収益源は、短期的にいうとFX、デリバティブ系の部分だと思う。カブコム単体というよりも、いろいろなところとの組み合わせによって、収益を得ていく流れを考えたい。FXのサービスも、当社の名前でサービスを展開するだけでなく2B、B2B2Cという流れを作っている。そういう収益の上げ方を考えていく。
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