小・零細企業の「給与デジタル払い利用予定」は1.0% 導入のハードルは?給与デジタル払い制度の認知度調査

» 2021年06月08日 17時02分 公開
[ITmedia]

 給与計算サービスなどを提供するフリーウェイジャパン(東京都中央区)は小企業・零細企業の従業員と代表取締役を対象に「給与デジタル払いに関する認知度調査」を実施した。その結果、デジタル払いの制度化を認知していない企業が47.8%と約半数にのぼった。政府が2021年度の早期段階に制度化を目指すと表明しているが、企業間での認知や理解が追い付いていないようだ。

給与デジタル払いの認知はどれくらい?(画像提供:ゲッティイメージズ)

 給与デジタル払いの制度化を知っているか尋ねたところ、「詳細まで理解している」と回答したのは5%未満の4.3%だった。「認知していない」(47.8%)と「詳細は知らないが制度自体は認知している」(47.9%)の合計が9割と小企業・零細企業ではデジタル給与払いへの関心が低いことが分かる。

デジタル給与の詳細まで理解している企業は5%未満(以下、フリーウェイジャパン調べ)

 約半数が制度自体は認知しているにもかかわらず、デジタル給与導入の検討状況を見ると「導入は検討していないし利用の予定もない」(64.8%)が最多、次いで「検討していないがこれから検討予定」(15.9%)、「検討しているが利用は未定」(12.1%)の順となった。

 「既に検討していて利用予定」と回答したのは1.0%。現時点では多くの回答企業で利用しない意向が強いことが分かる。

利用を決めている企業はたったの1.0%だ

 導入にあたっての障壁(複数回答)としては54.8%が「制度の詳細が不透明」と回答。そのほか「システムインフラの投資コスト」(37.7%)や「イシュアー(デジタル通貨発行元)の与信」(32.0%)などが挙げられた。

 制度の内容理解を促進する行政の働きかけ不足はもちろんのこと、インフラ構築費用やスマホ決済の安全性に対する懸念も利用意向が増えない要因だと推測される。

導入にあたり超えるべきハードルは多い

 今後希望する給与支払い手段を聞いたところ、「銀行振込」が最も多く8割超。「デジタル払い」は6.2%にとどまった。一方で「デジタル払いの制度が安定普及するまでは銀行振り込み」「メリットと安全性がクリアになればデジタル払い」など将来的な給与のデジタル払い導入に前向きな回答も見られた。

8割が「銀行振込」を望む

 現状は制度や利点の不透明性が理由で選択肢から漏れてしまっているだが、その点が解消されれば小規模企業でも給与のデジタル払いが採用されるかもしれない。

 調査は5月29日から5月25日にインターネットで実施。小企業・零細企業の従業員320人、代表取締役426人を対象とした。

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