とにもかくにも、現地優先。その国や地域で暮らす人はどんな文具を使いたいと思っているのか。現地の子会社や販売代理店の人たちと、「ああでもない、こうでもない」と議論を重ねながら、商品開発を進めているという。そんな中でも、好調なのは中国である。「中国画」(水墨画のような表現が特徴)用の絵の具を開発したところ、売れに売れているそうだ。
海外事業が成長していることは、よーく分かった。しかし、である。90年ほど前から展開しているのに、なぜ多くの人に知られていないのか(筆者の勉強不足であれば失礼)。商品のパッケージを見ると、サクラのマークがどーんとプリントされているのに、である。
その秘密を探っていくと、どうやら「価格」が関係しているようだ。現地メーカーの文具に比べて、サクラクレパスの商品は高い。2〜3倍ほど高いモノもあるが、いまのところ低価格路線を選択する予定はないようだ。「価格は高めに設定しているので、売り上げを伸ばすのに時間がかかっているのかもしれません。それでも、品質の良さをじっくり伝えていきたい」(菅原さん)という。
アーティストなど作品にこだわる人ほど、使うペンにもこだわる傾向がある。「気に入ったペンは長く使う傾向があって、ユーザーの『子どもや孫も使っている』といったことを聞くようになりました」(菅原さん)。また、数年ほど前から、Instagramで有名アーティストが使っているペンを見て、注文する人が増えているそうだ。
ちなみに、国内事業の繁忙期は、毎年2月〜4月にかけて。入学シーズンに合わせてピークを迎えるわけだが、海外は違う。9月入学を考えると、本番はこれからである。
令和版の“美術部”は、「サクラ」のデザインが施された商品をどこまで“咲かせる”ことができるのだろうか。
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