連載
» 2021年06月14日 06時00分 公開

“日本一の朝食”を出す函館のホテル 宿泊客数を抑えてまで守ったモノとは?連載・瀧澤信秋「ホテルの深層」(1/4 ページ)

日本一の朝食と言われるセンチュリーマリーナ函館は、宿泊予約流入をコントロールし“稼働を落とす”ことを指示。宿泊客を減らしてまで実現したかったこととは?

[瀧澤信秋,ITmedia]

ホテル業界復活のカギは「朝食」にあり?

ホテルの評判を左右する朝食。コロナ禍の影響を大きく受けるホテル業界だが、この時期を生かしてサービス改革に取り組み、顧客満足度を上げているホテルもある。一体どのような改革を進めたのだろうか。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が、地道に改善を積み重ねるホテル現場を取材した。


 前回の寄稿では、コロナ禍の時期を活用して朝食・サービスの改革を進めた「ヒルトン東京お台場」の取り組みを紹介した。115項目にも及んだ問題点を洗い出して解決する努力を重ね、顧客満足度を高めたホテルだ。

 ヒルトン東京お台場のような「デラックスホテル」に対し、ビジネスホテルの朝食で顧客満足度が高いホテルブランドに、ベッセルホテルズ(広島県福山市)がある。

 北海道はホテル朝食激戦エリアとして知られるが、札幌市内でもシティ・ビジネス入り乱れた朝食合戦の様相を呈している。そのような中でも、「ベッセルイン札幌中島公園」は、複数の大手宿泊予約サイトの顧客満足度で、平均4.79ポイントと1位であった(2021年2月/札幌市)。北海道以外の他店舗でも朝食の顧客満足度は相当高い。

 一方で、ブランドと朝食クオリティーは決してイコールではない。特にビジネスホテルでは、数十店舗から数百店舗規模へと多店舗展開が進むにつれて、店舗間の差も目立つようになる(無料朝食は除く)。

 ゆえに「○○ホテル(ブランド)の朝食って良いよね」という感想を時に聞くが、イメージとして合っていても実態には即していないこともある。ベッセルホテルズは現在、全国で約30店舗を展開。この辺りの店舗展開が高クオリティー堅持の限界規模かと感じている。

トレイを置くスペースに配慮されたブッフェボード(筆者撮影/ベッセルホテルカンパーナ名古屋)

 話を変えて、ビジネスホテルの朝食といえば、ゲスト目線で以前から「もったいないなぁ」と思っていたのが、日中〜夜のキッチンスペースだ。朝食提供後はキッチンが遊休スペースになっているのではないかと思ったことがある。

 ベッセルホテルズはその点にも着目していたようだ。実店舗を持たないデリバリー・テークアウトのビジネスモデルとして知名度を上げつつあるゴーストレストラン研究所(東京都港区)の「Ghost Kitchens」とコラボ。2月中旬にフランチャイズ1号店を東京都台東区の「ベッセルイン上野入谷駅前」にオープンした。

Ghost Kitchens 料理例(提供:ベッセルホテル開発)

 ホテルスタッフ自らがキッチンで料理を作り、ウーバーイーツを使って料理を発送するというモデルだ。「デリバリーはもちろん、ホテルに宿泊するお客さまからも外食を控えたい、温かくおいしい料理が食べたいという声が多く、好評」(同ホテル支配人の奥野悦子氏)だという。

 ベッセルホテル開発の瀬尾吉郎社長は「実証実験的にスタートしたが、予想以上の売り上げ」としたうえで、「こうしたビジネスモデルを生み出せたのも、ある種コロナ禍があったからかもしれない」とする。Ghost Kitchensとコラボしたフランチャイズ店は、今後、京都・福岡など都市部を中心に全国での展開を目指す。

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