ホリエモンが書店ビジネスで勝てた理由 ブルーオーシャン戦略を考え抜き、価値を「再定義」せよ堀江流・経営者に必要な『やりきる力』(3/4 ページ)

» 2021年06月19日 08時00分 公開
[堀江 貴文ITmedia]
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万策を尽くし、他にはない「レアな価値」を生み出せ

 ブルーオーシャン戦略の基本は、差別化だ。同業他社にはない魅力を持った売り物を、いかにマーケットへ提供できるかが肝となる。一例として、僕の手掛けている書店ビジネスを挙げよう。

 「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」というリアル店舗を長年、経営している。内装は徹底的にハイセンスにこだわり、カルチャーやビジネスなど、多彩な分野の先端を捉えた新刊をそろえている。蔦屋書店などよりも少し早く開業した、おしゃれ書店の先駆けだ。

SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSは書店・カフェ・ワーキングスペースが一体となった新店舗「SPBS TOYOSU」を「アーバンドック ららぽーと豊洲3」の4階にオープン(以下、同社のWebサイトより。photo by Keitaro Shimizu)

 本を売るだけではない。店舗の裏に、月額制のシェアオフィスを組み合わせた。本に囲まれたスペースで仕事したいという、意識の高いお客さんのニーズを満たしている。

 また、おしゃれな内装がファッション誌や女性誌からも人気で、撮影スタジオとしても、たびたび利用してもらっている。本に囲まれた空間を生かして、セミナーや限定のスナック、トークショーなど、集客イベントでも収益を上げている。レンタルボックスや、雑貨販売でも一定の儲(もう)けをキープできた。

書籍を全方位で楽しめる新業態「ブックラウンジ」と位置付けている

 書店ビジネスは、全ての販売ビジネスの中でもレッドオーシャンにあり、近年は衰退産業とされているが、決して負けが決まっているわけではない。

 リアルスペースを生かしたブランド戦略の構築で、収益は上げられる。本を売る以外にお金を落としてもらえる方法を考え抜くことで、結果は出せるのだ。お酒が飲めるトークイベントで集客に成功している書店は、他にも下北沢の「B&B」など、いくつもある。

 レッドオーシャンの中でも、ブルーオーシャンを見つけることは不可能ではない。考えて、考えて、考え抜けば、活路は見えてくる。「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」はコロナ禍の前に、黒字経営に乗せることができた。この時代には異例の成功のようで、同業者に驚かれた。

「SPBS TOYOSU」

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