猫用おやつ「ちゅ〜る」はなぜ売れる? 飼い主も“やみつき”にする戦略に迫る長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)

» 2021年06月22日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 コロナ禍で癒(いや)しを求めてペットを飼う人が増えているという。言うまでもなく、2大愛玩動物は犬と猫。近年は、散歩に連れて行く必要がなく、高齢者でも飼いやすいことから、犬よりも猫が人気だ。

 キャットフードで、従来になかった液状のおやつとして2012年に開発され、ヒットしているのが、「いなばペットフード」(静岡市)の「CIAO(チャオ)ちゅ〜る」だ。実際に猫に食べさせた人からは、食べっぷりの良さから「全ての猫を虜にする」と称賛する声も聞こえる。

ロングセラーの「CIAO(チャオ)ちゅ〜る」(出所:いなばペットフード公式Webサイト)

 もともと、いなばはキャットフード分野でおやつに強く、手から猫に与える「焼かつお」「焼ささみ」などの「焼」シリーズが好評を博していた。ただし、焼シリーズはスティック型の固体なので、ほぐして猫に与える時にどうしても手が汚れてしまう課題が残っていた。

 それを解決するべく試行錯誤した結果、ペースト状の猫のおやつとして「ちゅ〜る」が開発された。

 スティックの容器を開封すると、猫が好む食べ物のにおいが漂い、猫がかわいらしく舌を使ってペチャペチャなめる様子が見られる――こうしたユーザーによる給餌の風景がSNSの動画に頻繁に公開され、人気に拍車が掛かっている。よほど気に入ったのか、腹ペコだったのか、「ウマウマ」のように聞こえる謎の鳴き声を出しながら、夢中でなめる猫もいるほどである。スマートフォンとSNSの時代が生んだヒットと言えるだろう。

猫が「ちゅ〜る」を食べる様子(出所:リリース)

 CMソング用に公募した猫が「ちゅ〜る」をなめている動画も印象的だ。「ちゅ〜る ちゅ〜る チャオちゅ〜る」のインパクトは、昭和の「やめられない、とまらない」に匹敵するかと思えるくらいだ。

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