1983年出版の本が、2020年に6万5000部も売れた理由 猪瀬直樹が「ベストセラーを生み出す情報整理術」を語るスマホとクラウドで一元化(3/4 ページ)

» 2021年06月26日 08時00分 公開
[星裕方ITmedia]
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20万円の国史大辞典より、「スマホ」を頼る時代に

 徹底した文献主義の猪瀬氏だが、近年はスマートフォンの検索を使うことも増えてきたという。

 「国史大辞典という分厚い辞典が15巻あって、20万円くらいで買ったのです。最初は本棚を行ったり来たりしながら使っていたんだけど、例えば歴史解釈が変わったり、新発見があったりすると、(国史大辞典は)20年前の時点の史実で止まっている。それに対してスマホはつねにアップデートされている」

 5月に同氏と対談した経営コンサルタントで、『メモの変態が手帳をスマホに変えた理由』(小学館集英社プロダクション)を上梓した堀越吉太郎氏も、スマホを用いた情報整理術のエキスパートだ。

phot 経営コンサルタントの堀越吉太郎氏。「選書する書店フォルケ」店長も務める

 堀越氏いわく、過去に読んだ紙の書籍をEvernote(エバーノート)というアプリに読ませておくと、AIが本の文字を読み取り、後から検索したいときに、本の中まで検索できると語る。

 「私もずっと情報収集のためにメモをとってきましたが、ここ3年くらいでスマホとクラウドのものすごい進歩があって、情報整理の方法が大きく変わってきたんです」

 さらに、スマホの一番の特長は、「情報を『一元化』できること」だという。しかも、スマホならデジタルデータ化されているため、タイトル名などで検索すれば、欲しい情報に瞬時にアクセスできると、メリットを語る。

 猪瀬氏は、この検索機能の進化について、1971年に作られた専門図書館「大宅壮一文庫」を見た時に感じたという。

 「大宅壮一文庫っていうのは、カード検索によって辞書とは違う事項で検索できる、(今でいう)まさにGoogleそのもの。大宅壮一さんはそれを1960年に発明している。もしそこで当時のソニーや東芝が大宅さんが作った検索のシステムと結合すれば、日本からGoogleが生まれていたのじゃないかな」

phot 1971年に作られた専門図書館「大宅壮一文庫

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