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» 2021年06月30日 09時25分 公開

「安いニッポン」の本当の恐ろしさとは何か 「貧しくなること」ではないスピン経済の歩き方(2/6 ページ)

[窪田順生,ITmedia]

「安いニッポン」が続けば

 OECD(経済協力開発機構)のデータによれば、日本の相対的貧困率はG7の中でワースト2位。シングルマザーの相対的貧困率でいえば突出して高くワースト1位だ。ちなみに、この「貧しいシングルマザー」は「安いニッポン」の象徴的存在と言ってもいい。

 日本のシングルマザーの就労率は87.7%と、実はOECD諸国の中でも高い部類だ。つまり、他の国のシングルマザーよりもかなりしっかりと働いているのだ。にもかかわらず、貧しいということは、「賃金がダントツに低い」ことになる。

 ご存じのように、日本のシングルマザーの多くは、パートや派遣など非正規で雇われている。子どもを養うために安い時給でも文句ひとつ言わずに真面目に働く、おまけに景気が悪くなればサクッとクビにできる非正規のシングルマザーのような人たちの犠牲の上に、「安いニッポン」は成り立っているのだ。このような構造的な問題にも、マスコミの皆さんはズバズバと切り込んでいただきたい。

 ただ、何よりも筆者がお願いしたいのは、この問題を「貧しくなる」で終わらせてほしくないことだ。「安いニッポン」をこのまま放置し続けたら、現実としてはその程度では済まない。「日本人の命」さえ軽んじられてしまう恐れがあるのだ。

子どもの貧困率はOECDの中でも最悪の水準(出典:日本財団)

 「安いニッポン」が進行することは、先ほどの「貧しいシングルマザー」のようなワーキングプアが社会にあふれかえるということだ。一方、海外に目を移せば、賃金が上がって経済もどんどん成長している。

 このような内外格差が激しくなると、どういうことが起きるのかというと、「出稼ぎ日本人」が増える。つまり、賃金の低い自国に見切りをつけて、待遇のいい国へと渡っていくのだ。

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