三菱UFJ信託が情報銀行事業開始 Dprimeで「お金の代わりに個人情報を預かる」(1/2 ページ)

» 2021年07月01日 15時54分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 三菱UFJ信託銀行は7月1日、情報銀行サービス「Dprime」を開始した。個人から、本人情報や趣味嗜好、位置情報を使った行動履歴、資産情報などを預かり、本人の同意の下で企業に提供する。企業はデータをマーケティングに活用するとともに、提供したユーザーに割引券などを提供する。

 「企業、個人の双方が個人データをうまく利活用できていない。新たな情報ビジネスへの参入はチャレンジになる。一方で、(三菱UFJ信託には)年金信託など各種の信託でデータ管理をしてきた信頼の歴史がある。それをアドバンテージとして、ユーザーに信頼していただく」。三菱UFJ信託の長島巌社長はこのように、新たな事業領域への期待を話した。

情報銀行「Dprime」を始める三菱UFJ信託銀行の長島巌社長

 DprimeはiOS向けのスマートフォンアプリとしてユーザーに提供する。そして、免許証やパスポートなどを使って本人確認を行い、名前や住所などの本人情報を登録する。また、スマホのGPS機能を使い、いつどこに行ったのかという行動履歴も取得する。趣味嗜好に関する情報は、65問のアンケートに答えてもらうことで把握し、さらに家計簿アプリ「Moneytree」のアカウントと連携することで、MUFGグループに限らず銀行口座や証券口座にある資産情報を取得する。

 企業側は、これらの情報を使い、訴求したいユーザーを絞って、割引券などの提案をアプリ上で行う。ユーザーは、提案を確認しつつ実際の情報を提供してもいいと思う企業に情報を送信し、代わりに割引券などの対価を受け取るという流れだ。

Dprimeの概要

 これらの極めてセンシティブな個人情報は三菱UFJ信託銀行が管理する。ユーザーが選んだ企業にしか情報は渡らないほか、名前や住所の詳細、メールアドレスといった個人が特定される情報は渡らない。三菱UFJ信託銀行は、法的に個人情報に当たるものはDprime内にとどまり、企業には渡らないとしている。

 個人情報の扱いについて、三菱UFJ信託銀行はメールでの取材に対して次のように回答した。

 「個人情報保護法の規定により、当社の行為は個人情報の第三者提供に当たるが、個人情報保護法の規定に則り、本人の同意を得た上で提供している。氏名や住所を含む個人情報をアプリを通じて収集し、その上で、個人情報を個人を特定されない形で加工したうえで、データ利用企業側に提供している。当社からみると、利用企業側で個人を特定されない形で加工しているものの、個人情報保護法によると、個人情報を提供していることになると考えている。一方、企業側からすると、個人を特定できないことから、受け取った情報は個人情報には該当しないと言える」(※7月6日追記)

Dprimeが集める個人データ
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