攻める総務

灯台下暗し? 「目指せDX」と息巻く総務が陥りがちな、大きな勘違い「総務」から会社を変える(1/3 ページ)

» 2021年07月06日 11時00分 公開
[豊田健一ITmedia]

 「何でもよいので、DXができるテクノロジー・ツールを教えてほしい」――筆者のもとに、こんな問い合わせが飛び込んできた。この質問に違和感を覚えたのは、筆者だけだろうか。

 果たして、テクノロジー・ツールを導入すればそれがそのままDXとなるのだろうか。この質問をしてきた方は、テクノロジー・ツールを使うことがDXと考えているようだが、これは正解なのだろうか……。

盲目なIT活用に待った(出所:ゲッティイメージズ)

「手段の目的化」を避ける

 コロナ禍を受けて、テクノロジー・ツールの活用が進み出した。国もいよいよ重い腰を上げて脱ハンコの推進や、デジタル庁の創設に尽力しており、その動きが慌ただしい。今や世は「DX時代」といっても過言ではないだろう。

 このDXは、「デジタル・トランスフォーメーション」というように、「デジタル」が「トランスフォーメーション」より先にあるがゆえに、デジタル・ツールの活用が、デジタル・トランスフォーメーションである、という理解がまん延しているように感じる。

 そしてよくいわれる、わが国の悪弊、つまり「手段の目的化」がここでも起こりつつあると筆者は考えている。冒頭の質問のような、テクノロジー・ツールを導入すれぱ、デジタル・トランスフォーメーションであるという理解がその代表例だ。

 そもそも、DXの定義とは、顧客接点のデジタル化による、ビジネスモデルの変換、あるいは、最高の顧客体験を作ることだと筆者は理解している。これはつまり、単純にテクノロジー・ツールを導入し効率化を実現するだけではなく、もっと本質的に、実現したい世界観を構想し、それを実現するためにテクノロジー・ツールを使うことである。

DXに至るための、2つの通過点

 そもそもDXのためには、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」という土台作りが企業内で進んでいる状態が必要である。

 デジタイゼーションとは、まず全ての前提として必要な、紙などのアナログな状態で散らばっている情報を、デジタル情報に変換することを指す。このデジタイゼーションは、コロナ禍により大きく前進しているようだ。アナログ情報が存在する限り、そもそもリモートワークを実現できないので当然ともいえる。

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