シャオミが社員122人に「3億円」特別ボーナス、ファーウェイ失速で絶好調浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(5/5 ページ)

» 2021年07月15日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]
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ボーナスは人材獲得競争の裏返し?

 中国のメガIT企業が何かの節目に特別ボーナスを支給するのは、珍しいことではない。

 コロナ禍に見舞われた20年は、景気のいい話はあまり聞かなかったが、19年11月、トランプ政権から規制を受けたファーウェイが、規制によって従来の部品やサービスが使えなくなり、代替品の開発に奔走した部署の約2万人を対象に、総額20億元(約340億円)の「奮闘特別ボーナス」を支給した。単純計算すると1人当たりの取り分は10万元(約170万円)に上る。

 また同年12月には、中国IT大手テンセント(騰訊)が、クラウド事業売り上げ100億元(約1700億円)達成のご祝儀として、同部門の全社員にiPhone 11 Proをプレゼントした。対象社員は約3000人とされ、1台10万円で計算すると約3億円が投じられたことになる。

 日本では考えられない大盤振る舞いだが、その裏にあるのはIT企業の人材獲得競争の激しさだ。また、メガIT企業は軒並み“ブラック企業”といわれ、企業はアメとムチを使い分け、社員を選別し、管理している。

 ファーウェイの社員は、「給料や福利厚生はとてもいいが、成果が目標に届かないと解雇もあり得る。社内競争も非常に激しく、プレッシャーにさらされる日々だ」と漏らした。

筆者:浦上 早苗

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37

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