実施人口は16年で2倍! 「筋トレ」を日本の成長戦略の柱に置くべき理由スピン経済の歩き方(2/6 ページ)

» 2021年07月27日 09時36分 公開
[窪田順生ITmedia]

国の成長戦略の柱に

 ご存じの方も多いだろうが、実は日本以外の先進国はコロナ禍でも経済成長を続けている。ロックダウンで経済を止めたこともあったが、着々と経済を持ち直しているのだ。

 しかし、日本は「世界が驚く脆弱(ぜいじゃく)な医療体制」のせいもあって、この1年ズルズルと経済活動自粛を続けていた。以前から日本は先進国で唯一経済成長をしていない国だったが、コロナでさらにその傾向が強まってしまったのである。

 このアリ地獄のような低成長は、これまで半世紀続けてきた「日本のものづくり技術は世界一」みたいな手垢(てあか)のついた成長戦略では、いつまでもたっても抜け出すことができない。国の基幹産業にまで成長した「観光」と同様に、これまでと異なる視点で、ほとんど手がつけられなかった分野を成長のドライバーとしていくべきだ。

 「まあ、それはいいとして、なんで筋トレ?」と首を傾げる方も多いだろうが、実は筋トレ市場はこの条件を満たしているだけではなく、国の成長戦略の柱にするだけの「国益」があるのだ。ポイントを以下にまとめよう。

(1)市場として大きな「伸びしろ」がある

(2)少子高齢化の中で競技人口が右肩あがり

(3)ウォーキングやジョギングと異なって産業が活性化する

(4)うつ・自殺の対策・医療費削減効果

(5)日本型組織の「不正体質」の改善に役立つ

 まず、(1)の「市場として大きな『伸びしろ』がある」から説明しよう。IHRSA(国際ヘルス・ラケット・スポーツクラブ協会)2018のグローバルレポートによれば、日本のフィットネスクラブ会員数は424万人で人口比の参加率は3.33%。アメリカは6086万人で20.3%、イギリスも972万人で14.8%、フランスも571万人で8.5%という感じで、G7の中でダントツに低いのだ。

 ただ、これは裏を返せば、まだまだ大きなポテンシャルがあるということなのだ。日本の従来のスポーツジムは会費が高いうえに、仕事などで時間がなくて通うのが面倒くさくなってしまう問題があった。しかし、オンラインンフィットネスが普及していけばこれらの問題が解決される。

 それはつまり、未成長のこの分野が一気に活況するということだ。

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