実施人口は16年で2倍! 「筋トレ」を日本の成長戦略の柱に置くべき理由スピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2021年07月27日 09時36分 公開
[窪田順生ITmedia]

「処方せん」としての役割

 ここまで「カネ」のことばかりに言及をしてきたが、筋トレを成長戦略の柱に据えるのはそのような経済的メリットだけではない。日本が抱えている深刻な問題に対する「処方せん」としての役割が期待できるのだ。

 スポーツアパレル「アンダーアーマー」の日本総代理店・ドームの安田秀一CEOが近著『「方法論」より「目的論」「それって意味ありますか」からはじめよう?』(講談社+α新書)のなかで、一流のビジネスエリートになればなるほど、筋トレやトライアスロンなどストイックに自分の体を鍛えている理由について以下のように述べている。

 『一般的によく言われるのは、筋トレやランニングをすることで、ビジネスエリートとして必要不可欠なマネジメント能力が鍛えられるということです。ストイックに、そして継続的に自分の身体を鍛えることは、目標に向かって何をすべきかという計画の立案と、それを実行に移すことに他なりません。それを日常的に続けると、ビジネスパーソンとしてのスキルも向上していくというのです』(同書)

 そこに加えて、トレーニングを通じて得る「自信」の獲得も大きいという。安田氏はこれまで世界で活躍する一流アスリートと実際に会ってきたが、競技に対する自信だけではなく、コンプレックスがなくて自然体で生きている人が圧倒的に多い印象だという。その理由を分析した結果、日々の過酷なトレーニングを乗り越えて、「昔の自分」を超えたことを繰り返すことによって獲得した「自信」があるのではないかという結論に至ったそうだ。

 つまり、筋トレなどのフィジカルトレーニングは、「計画立案」「実行」「目的達成」というスキルを身に付けさせるだけではなく、困難を乗り越えることでコンプレックスを克服し、それが人間としての「自信」にもつなげることができるというのだ。

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