実施人口は16年で2倍! 「筋トレ」を日本の成長戦略の柱に置くべき理由スピン経済の歩き方(3/6 ページ)

» 2021年07月27日 09時36分 公開
[窪田順生ITmedia]

経済効果に期待

 そんなうまくいくかねと懐疑的な人も多いだろうが、筋トレには(2)の「少子高齢化の中で競技人口が右肩あがり」という強みがある。

 ご存じのように、日本は少子高齢化がすさまじいスピードで進行している。そのため、スポーツを産業とした場合に、競技人口・実施人口の減少という頭の痛い問題に必ず直面する。子どもの数が減っている、野球やサッカーなどはその代表だが、人口が減るイメージが少ないエクササイズ系のスポーツも同様の問題があるのだ。

 笹川スポーツ財団の調査では「ウォーキング」や「ジョギング・ランニング」の実施人口は02年から18年まで増加傾向にあるが、年によっては前年よりも減少している。どうしても「ブーム」に影響されるのだ。しかし、唯一、右肩あがりで増えているエクササイズがある。

 そう、筋トレだ。

 「推計実施人口は02年の856万人から18年には1566万人と約2倍に増加している。他の種目と違い、06年以降、実施人口が一度も減少することなく継続して増加している」(種目別にみた運動・スポーツ実施状況 その1)

年1回以上の種目別推計実施人口の年次推移(出典:笹川スポーツ財団)

 このような市場の安定性に加えて、成長戦略に推すのは(3)の「ウォーキングやジョギングと異なって産業が活性化する」こともある。

 ウォーキングやジョギングは、手軽さが魅力で初期費用が少なくて済む。トレーナーも必要ない。それは裏を返せば、経済効果が少ないのだ。マラソン大会などのイベントを開けばいいのだという話になるが、新たなウイルス・パンデミック時代には、五輪が巨額の大赤字を垂れ流しているように、リアル大規模イベントはリスクしかないのだ。

 一方、「筋トレ」はどうかというと、まずさまざまなマシンもいるし、プロテインもいる。1人で自己流でやる人もいるが、間違った方法ではなかなか成果が出ないので、リモートでもリアルでも、トレーナーの出番が多いのだ。

 また、リアルイベントにこだわる必要もない。リーボックがやっている「クロスフィット」のように、テクノロジーを介して遠く離れた人と記録やパフォーマンスを競う方法を活用すれば、パンデミック下でも普通にイベントを行える。実際、これまでもオンラインでのボディビル大会などが開催されている。

 つまり、筋トレはウォーキングやジョギングなどに比べてはるかに「ビジネス」としての広がりがあり、経済効果が期待できるのだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.