「筋肉をつけたいけど、めんどくさいから今日のトレーニングはテキトーでいいか」とか「筋肉にはタンパク質がいいって話だけど、甘いものが食べたいからケーキとかでも大丈夫だろ」というような「なし崩し的にルールを変える」ことや、「自分の都合のいい解釈」はしない。なぜここまでストイックなのかというと、筋トレ愛好者がよく言うように「筋肉はうそをつかない」からだ。
しかし、政府や大会組織委員会は、「なし崩し的にルールを変える」「自分の都合のいい解釈」を山ほどしてきた。そして、それを突っ込まれると、「私が決めたわけじゃない」「現実的にはすべてをチェックすることなど不可能だ」「なんでも批判するのはアホな国民だ、粗探しばかりをするな」など、悪事がバレた子どものような逆ギレをしている。
「ストイック」という言葉と無縁の「自分にやたらと甘い人」が組織のトップに山ほどいるのだ。
日本を立て直すにはそういう甘っちょろい考えを根本から叩き直していく必要がある。「筋トレ」を成長戦略にすれば、経済効果だけではなく、そのような「目的軽視カルチャー」を変える効果も期待できる。
五輪のメダルラッシュでお祭り騒ぎも楽しいかもしれないが、スポーツは自分でやるほうが何倍も楽しい。今こそ、日本人は心と体を鍛えるべきなのではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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