理由はさまざま考えられますが、根本的な理由の一つに、正社員と呼ばれる雇用形態での男女比率の差が挙げられます。
労働力調査の詳細集計によると、「正規の職員・従業員 男女比率」の推移は以下のグラフの通りです。
女性が占める比率はジワリと増えているものの、おおむね3分の1程度にとどまります。管理職に登用される人は大半は正社員だと考えられることから、このグラフは女性の管理職比率の限界値が、構造的に3分の1程度になっていることを示しているといえます。
かねて政府は女性管理職比率を30%にする目標を掲げてきました。正社員比率を見る限り、30%であれば決して達成不可能な目標ではなさそうです。しかし、20年には達成されている予定だったこの目標は、30年まで期限が延長されました。日本の職場環境において、女性の管理職比率を引き上げることの難易度の高さが伺える結果です。
一方、働き手側の視点に立つと30%という数字に対して異なる印象を受けます。
仕事と家庭の両立を希望する主婦層を中心とした「就労志向」の女性705人にしゅふJOB総研が行った調査によると、妥当だと思う女性管理職比率として最も多かったのは「50%程度」でした。
「40%程度」および「60%以上」と回答した人の比率も合わせると、過半数が政府目標である30%よりも高い数字を妥当と見なしており、何だか目標が低く見えてきます。
日本の総人口で見ると、男女比率はおおむね半々です。そう考えると、「50%程度」と回答した人が最も多いのは自然なことかもしれません。しかし、政府は目標数値をそれよりも低い30%に設定し、しかも達成期限が延長されました。施策として、どこかチグハグで歪(いびつ)な印象を受けます。
さらにもう一点、既に見てきたデータを改めて眺め直してみると、女性管理職比率を巡る“歪さ”が他にも隠れていることに気付きます。
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