コロナ禍における日本マクドナルドの業績に大きく寄与したデリバリーやドライブスルー。こうした店外売り上げの付加は店舗にとってメリットがある反面、実はデメリットもあります。
コロナ禍直後にはマクドナルドに限らず多くの飲食店がデリバリーやテークアウトにチャレンジしました。しかし、コロナ禍発生から1年以上が経過した今でも、上手に店外売り上げを獲得できているお店は少ないのが実情です。この要因の一つに「オペ―レーション負荷」という課題があります。
具体的なお話をすると、店外売り上げの注文が集中する時間帯は、店内売り上げのピークタイムと重なる場合が多いのです。店内と店外で集中するオーダーを、アルバイトスタッフを中心にこなしていくのは、かなり大変なオペレーションとなります。
皆さんは全国のマクドナルドには何人のクルー(アルバイト)がいるかご存じでしょうか? 全国のクルーの人数は17万人を超えます。17万人のクルーに対して、急増する店外オーダーに対応するオペレーションを満遍なく教育していくことが、どれほど大変なのか。皆さんも想像ができると思います。
日本マクドナルドでは、新たなオペレーションなどをいち早く全店レベルに落とし込むために、タブレット型のトレーニング教材である「デジタルCDP」などを開発。オペレーション教育を推進してきました。さらに、最近ではスタッフの多国籍化を踏まえ英語、ベトナム語、ネパール語、ポルトガル語、中国語の5カ国語にも対応できるよう機能を強化しています。
同時に、教育施設である「ハンバーガー大学」も、コロナ禍直後にいち早くオンライン化に切り替えています。こちらは21年1〜3月ですでに5920人が受講しています。
同社では、こうしたコロナ禍に伴う新たな店舗運営形態(ニューノーマル)に対応するための人材採用・教育面への投資を積極的に行っています。その証拠に、20年12月期決算を細かく分析していくと、労務関連費率は28.9%とコロナ禍前より1.4ポイント増、金額にして約26億円上昇しています。
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