最後は異動の事実を把握したあとの対応方針だ。
ポイントは(1)前任のチャンピオン顧客と後任を交えた3者ミーティングの実施、(2)後任オンボーディングの実施の2点だ。まずは(1)から考えていこう。
よくある引き継ぎのパターンとして、前任の方が異動したあと「今後は後任の○○氏とコンタクトを取ってください」と連絡があり、後任の方とだけ打ち合わせを実施するケースがあるが、これは高確率で失敗する。
こういうケースでは、社内で十分に引き継ぎが行われているケースが少ない。前任の方はただでさえ他の引き継ぎ事項が多いので、どうしてもツールについては後回しになりがちだし、後任の方からしても前任の方が使っていたツールに思い入れはないだろう。
そのため、こちらから積極的に機会を作らなければならない。
さもなくば、これといった引き継ぎがなされないまま進んでしまい、これまで前任の方と築き上げてきた信頼や関係性がリセットされてしまう。そうなると後任の方との信頼構築をゼロから行わねばならず、うまくいく確率はかなり低くなってしまう。
ここで3者ミーティングが生きてくる。あえて、前任から後任への引き継ぎの場を自社起点で設定することで、前任の方がツールを入れた理由やこれまでどのような成果をあげてきているか、なぜ他のツールがあるなかでこれを選んでいるのか、そういった引き継ぎの際に伝えてほしい重要な点を確実に伝えてもらえる。
また、こういった場で直接伝えていただくことで後任の方もツールに対する情報感度が高まり、解約ありきで物事を考えるというスタート地点は回避できるだろう。
3者ミーティングで取り扱うべきトピックは、「BRIDGE」というフレームワークで抑えておこう。
これらのトピックは忘れがちなポイントだが、確実に後任の方に伝えられれば予期せぬ解約を防げるので、確実にお伝えいただこう。
最後に(2)の後任の方のオンボーディングを行うことを忘れないようにしよう。
以前は使えていたから、といってオンボーディング自体をあえて実施しないケースもあるが、異動が発生した場合はほぼ新規契約、再スタートと捉えてオンボーディングを実施したほうが良い。もちろん、最初のときと全く同じ必要でなくてもよいが、足りていない部分を確認し実施することが重要だ。
ここまで、異動のリスクをどう察知・回避し、対応すべきかを考えてきたが、最後に留意しておきたいのは、異動はリスクであることもあるが、同様にチャンスでもありうるということだ。
筆者の経験の中でも、担当者が異動になり後任に代わったことで活用が一気に進んだケースは何度もある。単純に相性の問題もあるが、それ以上に体制変更の中で事業がどのように変化しようとしているかを捉えて、新しい活用方法を提案することができれば、これまで以上の活用が見込める。
必ず起こる顧客事業の変化の1つとして異動を捉え、積極的に機会に転換していく術を身につけ実践していってもらいたい。
株式会社ビービット カスタマーサクセス
京都大学経済学部を卒業後、ビービット入社。コンサルタントとして教育・メディア・金融など50以上の企業でUX改善・成果向上に従事。その後、UXコンサルティングプロジェクト責任者を経て2018年よりUXチームクラウド『USERGRAM』のカスタマーサクセス立ち上げ・運営に携わる。累計300社以上のUX企画推進・人材育成を支援し、2021年よりインサイドセールス責任者。
株式会社ビービット:https://www.bebit.co.jp/
Twitter:@wataridori89102
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