リモートワークや時短勤務、週4日勤務などを導入し、ワークライフバランスの向上を目指す企業が増えています。そこで、従業員の満足度を考えるときに欠かせない福利厚生の新しいタイプのサービスを紹介します。
働く人の価値観が多様化し、福利厚生も多様化してきています。企業と従業員の関係性を考えるうえで、両者の価値観のすり合わせは必須条件と言えます。
もともと、福利厚生は、明治の頃に終身雇用制における低賃金を補填するものとしてできたといわれています。それが、高度経済成長期やバブル経済において賃金以外の報酬として、娯楽施設の利用など、休日を充実させるものにシフトしていったのです。
バブル景気により羽振りのよくなった企業は、労働環境をよりよくするため、さまざまな設備投資や福利厚生の一環として豪華な社員住宅や保養施設などをつくります。
当時は、保養施設などをたくさん持っている企業がもてはやされる風潮があったので、大企業はもちろん、どの企業でも大きな施設の建設が相次ぎました。
これが福利厚生において「ハコモノ」と呼ばれる住宅や施設関連のサービスです。以降、2017年まで、福利厚生費の半分近くを占めるものとなっていました。
現在では、従業員=「ヒト」の支援という観点が加わるようになりました。ぜいたくに使われていた福利厚生費も、バブル崩壊により見直しが迫られました。
コロナ禍でのリモートワーク導入後、出社人数がばらつくためにオフィス内での福利厚生を見直す企業も少なくありません。自社での管理・運用も見直され、福利厚生のアウトソーシングも行なわれるようになりました。
トップダウンで福利厚生費が使われるのではなく、従業員のニーズから逆算し、労働とライフスタイル支援などに使われるようになったといえるでしょう。
これまで、福利厚生は、「従業員に長く働き続けてもらうためのもの」という位置付けでしたが、その役割が変化してきました。福利厚生は、あくまで自社の制度の1つと思われがちです。しかし、いまや企業を評価する重要な指標とされ、求職者も企業の福利厚生の充実度を見ていることから、福利厚生の内容によって採用にも影響が出ています。福利厚生は、アピールポイントの1つとなっているのです。
また、人材定着にも関係していることから、対外的に「従業員の働きやすさをどう改善しているか」を判断する指標にもなっています。福利厚生が原因で離職につながる恐れもあるのです。
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