コロナ禍をきっかけにオフィスを見直す企業は多い。「従業員の声を取り入れる」ためにアンケートやヒアリングに注力したという事例も珍しくないが、なかでもオフィスリニューアルに全社員の8割以上が関与したという稀有なケースがある。
ポイントサービス「Ponta」を運営するロイヤリティマーケティング(東京都)だ。同社では社員の8割以上が自主的に参加し、オフィスを「ゼロベースで、コンセプトから」作り上げた。
その過程では、オフィスに求める具体的な設備を問うよりも、「どんな気分で仕事をしたいか」といった抽象的なテーマを用意し、議論を深めていったという。同社が一見、迂遠に思える方法を選んだのは、オフィスリニューアルを通じて、ある目的を実現するためだった。
多くの工数を割いたオフィスリニューアルの、その先にある目的とは。人事総務部長の相澤倫也氏と、同部の木村昌則氏に話を聞いた。
ロイヤリティマーケティングではもともと、社員数の増加に伴って2019年の年末頃からオフィスの一部をフリーアドレス制にするなど対応を進めていたが、20年初頭に新型コロナウイルスの感染拡大に直面した。
コロナ禍を機に、育児や介護などをしている一部の社員に限っていたテレワークの対象者を拡大。これまでオフィス勤務だった社員に始まり、外部パートナーにもテレワークを浸透させた。
テレワークの浸透により、オフィスの増員対応は中止に。代わりに、新たな働き方に合わせたオフィスの全面的なリニューアルに向けて舵を切った。
全社員に参加を呼びかけ、オフィスに出社したときの理想の働き方や、個人・部署・会社のありたい姿を話し合うワークショップをオンラインで実施した。
参加必須ではなかったものの、従業員231人(20年8月末時点、直接雇用)のうち191人と、約83%が参加。全9回のうち1人1回参加し、議論を通してオフィスを“共創”していった。
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