攻める総務

オフィス刷新、ポンタ運営会社 あえて「今のオフィスの悪いところ」を議論しなかった理由8割の社員が参加、アイデアは1000以上!(2/4 ページ)

» 2021年07月20日 14時30分 公開
[小林可奈ITmedia]

あえて“抽象的なテーマ”で議論した理由

 ワークショップでは「どんな気分で仕事をしたいか」など、オフィスの具体的な設備面を話題にするのではなく、やや抽象的なテーマを用意した。

 「今のオフィスのどこを改善すべき点とみなし、変えるべきか?」というような課題解決型のアプローチは、あえて選ばなかった。批判精神を発揮する機会よりも、「社員の皆で実現したいことは何か」を改めて確認し、実際のオフィスに落とし込みやすいポジティブな意見が交わされる場を作り出すためだ。

 「社員同士の関係や働き方の理想」についてブレインストーミングした際に、オンラインホワイトボードツール「Google Jamboard」上で参加社員が書いた付箋の総数は、実に1060枚。付箋に出てきた言葉はテキストマイニングし、多くの社員に共通する意見をピックアップしていった。

photo Google Jamboardを利用(同社提供資料)

 全社的な合意形成のプロセスにおいては、人材育成などを手掛けるヒューマンバリューの支援を得た。全体のプロセス設計の段階から入ってもらうなど、「ワークショップ開発そのものを依頼したというよりも、新しいオフィスを通じて会社の指針を実現するためにはどうすべきか、というサポートを依頼したような形」(相澤氏)を取った。

photo 左から人事総務部長の相澤倫也氏、同部の木村昌則氏(取材はオンラインで実施した)

 「ヒューマンバリューが主体となってワークショップを実施しても“押しつけ感”が出てしまうのでやめた方が良いというアドバイスや、従業員の納得感が高まる伝え方などの細かなテクニックを教えていただきました」(木村氏)

 経営・社員だけではなく、社外の多くのメンバーが関わり、コンセプトを組み上げていく過程は、Teamsで全社に公開しながら進めていった。

施工会社も参加 社員の生の声を落とし込んだ

 施工会社のコスモスモアには全てのワークショップへの同席を依頼し、参加社員の生の声に直接触れてもらった。

 「靴を脱いで仕事がしたい」という声から土足厳禁エリアを作るなど、社員がポロっとこぼした一言を控えておいて設計に反映することもあったという。

 ワークショップを開催するなかで、社員のアイデアの共通項が何点か浮かび上がってきた。設計面では、「組織の垣根を超えたコラボレーション」「アジャイルに動ける」「共に助け合う」「好奇心、集中力、当事者意識」などのキーワードを拾い上げ、これらを実現するオフィスを目指した。

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