海外の記者たちは、今回は外食にも行けなかったが、代わりに発見されたのが、宿泊しているホテルの近くにあるコンビニだった。日本のコンビニは実際に使ってみると非常に便利で、品ぞろえが豊富。商品のレベルも高いことが、報道やSNSで繰り返し発信された。
「海外におけるコンビニのイメージは、ガソリンスタンドに併設された緊急購買のようなイメージ。ところが、日本のコンビニではカップラーメン1つとってもいろんな種類がある。チルド飲料も無糖、微糖とそろっている。海外の人には大変な驚きだったようだ」と、実際に取材に同行したローソン広報部の持丸憲氏は語る。
これまで、海外から来た人が日本に抱いているイメージは、寿司、天ぷら、ラーメンだった。しかし、コンビニとそこに売っているカップ麺、コーヒー、お菓子、おにぎり、から揚げなどにも関心が向けられたことは、日本の食産業にとって必ずプラスになると思う。
セブンでは、海外の人の間で「おにぎりの開け方が分からない」と話題になっていたことを受け、動画を作成。公式twitterに掲載した。このような細かな情報発信が喜ばれるのではないか。日本のコンビニのおにぎりが、世界に広まる日は近いのかもしれない。
以上のように、東京オリンピック開催でさまざまな発信が行われた。一方、東京都などの緊急事態と無観客開催で、夜8時までの営業とお酒の提供禁止を余儀なくされた外食(テークアウトに強いハンバーガーなどを除く)、とりわけ居酒屋や観客を迎えようとしていたホテル、旅行業、鉄道・航空・バスなどの交通機関にとっては厄災だった。「K字」と言われるコロナ禍独特の経済回復の格差が、オリンピックで助長されたのは否めない、負の一面もあった。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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