一方「失敗した!」 と悔しがるのは、とある独立系ビジネスホテルの営業担当者。同氏は「関係者宿泊のホテル営業と情報交換したが、みなさんウハウハだった」という。「リアルエージェントが元締めで割り振られた」「リアルエージェントとの相応なチャネルが必要であった」と話す。日ごろから大手旅行エージェントとの付き合いが大切だったということだろうか。
いずれにしても無観客ゆえに、本来あったであろう一般の需要が皆無だったことは間違いなく、五輪で“助かったホテル”“恩恵がなかったホテル”は関係者の受け入れ有無で明暗が分かれたようだ。
恩恵があったホテルでは、どのくらい稼働率や単価の押し上げ効果があったのか。ホテル業界の市場データを提供する英・STRによると、夏季五輪が再スケジュールされた7月の東京のホテル稼働率は47.2%となり、20年2月以来の月間レベルになったという。
さらに細かく見ると、開会式の前夜(7月22日)が60.5%、23日当日の夜が60.6%に達したといい、稼働率60%超えはGoToトラベルキャンペーン中であった20年11月21日以来とのこと。一方、会期中には稼働率は低下、閉会式の夜(8月8日)には45.4%、翌日の夜(8月9日)には29.2%に減少したというデータを発表した。
出所:STR: Olympics Lifted Tokyo Hotel Occupancy to 17-Month High Hotel Occupancy Lessened Over Duration of Olympic Games調査対象ホテルの立地やカテゴリー(分母)などにより異なる結果も出るだろうが、筆者が確認したいくつかの受け入れホテルでは10〜15%の稼働率上昇という結果であった。
他方、客室単価の押し上げはどうだったであろうか。取材した複数のホテル(宿泊特化タイプが中心)の傾向を大まかに見てみると、(契約時の金額は明示されなかったが)いずれにしても6月と比較して2000〜3000円ほどの上昇が見られた。
バブルの名残 温泉街の「大型施設」が廃墟化 鬼怒川と草津の違いと「大江戸温泉物語」の戦略
コロナ禍でも黒字のアパホテル 常識破壊の”強さ”と悲願の10万室が生んだ“功罪”
国内に75万室! 供給過剰のビジネスホテル インバウンド消失で生き残る策はあるのか
ドーミーインのこだわりは「大浴場」だけじゃない 店舗数拡大でも維持する「水風呂」と「朝食」の質
1泊20万円超も コロナ禍なのに高級ホテルが続々開業するワケCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング