「振り回されたのはGoToに似ている」との声も 東京五輪はホテルに恩恵をもたらしたのか瀧澤信秋「ホテルの深層」(1/6 ページ)

» 2021年09月01日 07時00分 公開
[瀧澤信秋ITmedia]

 インバウンド活況からの2020東京五輪と、ポジティブムードに包まれていた近年のホテル業界であったが、20年のはじめにセンセーショナルなニュースとしてメディアを支配した“新型コロナウイルス”で一転。宿泊稼働が激減していく中で、同年3月には五輪延期も発表され、一気にネガティブな空気が支配していった。

オリンピック 当時、競技場建設も急ピッチで進められていった(筆者撮影)

 振り返ってみると、“五輪ホテル不足問題”がクローズアップされたのが19年の春頃。さらにホテル不足が大きく表面化したのが6月であった。観戦チケットの抽選結果が発表されたものの、「チケットを購入してもホテルが予約できない」という声が相次いだことがきっかけだった。大会組織委員会が、関係者向けに大量に仮押さえしていたことが判明したわけであるが、その客室数は会場周辺を中心として約4万6000室とされた。

 当時、リサーチのために複数のホテルへ問い合わせてみたが、やはり会期中に空室を確保するのは相当に困難な状況であった。仮に空室があったとしても、通常5000円ほどで宿泊できる格安ビジネスホテルが、5万円に値上がりしている例もみられた。

 供給を補完すべく、カプセルホテルやホステルといった簡易宿泊所や民泊などにも白羽の矢がたった。これら施設は短期間で開業できる長所もあり、一般のホテルとは一線を画す形態の宿泊施設への需要も高まりをみせた。

都内ホテル4軒の料金(金曜日/1人1泊の最低料金)
2019年7月下旬 2020年7月下旬
新宿のビジネスホテル 1万1000円 6万7000円
汐留のビジネスホテル 1万4000円 6万7000円
銀座のビジネスホテル 1万5000円 3万2000円
赤坂のカプセルホテル 3000円 1万4000円
当時、五輪期間中と比較するためを調べたデータより(筆者作成)
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