東海道新幹線「のぞみ」のビジネスパーソン向け「S Work車両」とは何か杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/7 ページ)

» 2021年09月03日 08時05分 公開
[杉山淳一ITmedia]

N700S独自のサービスも順次開始

 N700Sでは、広帯域の無料Wi-Fiサービス「S Wi-Fi for Biz」が始まる。従来の「Shinkansen Free Wi-Fi」サービスでは30分でいったん切れてしまったけれど、「S Wi-Fi for Biz」は時間制限がないから、長時間の動画視聴、オンライン会議も安心だ。大容量ファイルの受け渡しも可能だろうけれど、ほかのユーザーに影響するので遠慮してほしいところ。

 「S Wi-Fi for Biz」は車両に機器搭載工事が必要なため「10月以降順次」となっている。また「S Work車両」に限定せず、N700Sであれば「ひかり」「こだま」でも7号車と8号車で利用できる。8号車は3両あるうちのグリーン車の1両だ。グリーン車に乗るなら8号車がオススメだ。

 N700Sでは22年4月以降、7号車の喫煙ルームを改造し、打ち合わせに使える「ビジネスブース」を試験的に導入する。丸椅子を置き、短時間の打ち合わせで利用できる。「S Work車両」であれば、携帯電話の通話も同行者同士の会話もとがめられないけれど、やはり第三者に聞かれたくない話もあるだろうから、これもありがたい。

「N700S」限定のサービスも用意される(出典:JR東海報道資料

 なお「ビジネスブース」導入に先立って、21年春から東海道・山陽新幹線の16両編成の7号車喫煙ルームは終了予定だ。喫煙者にとって、また厳しい施策となっている。筆者は喘息持ちでどちらかといえば嫌煙だけど、近年の喫煙者締め出しは気の毒に思う。10号車(グリーン車)、15号車(普通車)の喫煙ルームは残るから、こちらも予約時の案内が必要だ。

 以上をまとめると、最も快適なビジネス車両は、N700Sを使用した「S Work車両」だ。N700Sを使用する予定の列車は今のところ数が少なく、JR東海の公式サイトで公開されているけれども、「EXアプリ」で予約するときに明示されていない。いずれ全列車がN700Sになるとはいえ、改善してほしい。

EXアプリで10月以降の「のぞみ」を選ぶと「S Work席」の選択肢が現れる
「S Work席」を選択すると7号車の座席選択になる。シートマップを見るとすべての席を指定可能だ。B席、D席を禁止して隣席を空ける仕組みではない。シートマップで隣が空いた座席を指定したほうがよさそうだ。もっとも、混んでくると空席もふさがるだろう

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