“AIオーブン”が提供時間に合わせて焼き上げる DNPなどがフードロス削減に向けた実証実験バウムクーヘン

» 2021年09月07日 14時35分 公開
[ほしのあずさITmedia]

 大日本印刷(DNP)と洋菓子のユーハイム(神戸市)は9月6日、AIを活用したバウムクーヘン専用オーブン「THEO(テオ)」を使った商品販売システムの実証実験をすると発表した。事前の注文に応じて商品を製造し、フードロス削減につなげる狙い。

バウムクーヘン DNPとユーハイムがフードロスに向けた取り組み(出所:プレスリリース、以下同)

 実証実験は、DNPが提供する「需要を把握・管理できる仕組み」とTHEOを連動させることで、最適なタイミングで商品を焼き上げるというもの。ユーハイムが開発したバウムクーヘン専用オーブンTHEOは、職人が焼く生地の焼き具合を、AIが各層ごとに画像センサーで解析しデータ化。無人でも職人と同等レベルのバウムクーヘンを焼きあげることが可能だという。

バウムクーヘン 受け取り時間に合わせて自動で焼き上げる

 まず、店舗側が予約販売する商品情報を、DNPが提供するシステムに登録。購入者が専用Webサイトで商品を閲覧し、受け取り時間などを指定すると、THEOが時間に合わせて自動で商品を焼き上げる。購入者が店頭で待つことなく、できたての商品を受け取れるようにした。また、店舗側も販売機会を失うことなく商品を提供することで、サービスの向上を図れるとしている。

 専用webサイトは販促物などに掲出するQRコードやメール案内などから誘導し、新しい販売方法として周知を行う。

バウムクーヘン 「THEOバウムクーヘンリング」

 実験は9月8〜27日に、ミシャラク表参道店 (東京都渋谷区)で実施。対象商品は「THEOバウムクーヘン一本焼き」(8100円)、「THEOバウムクーヘンリング」(1944円)、「THEOバウムクーヘン1/4カット」(432円)の3種類とした。

 近年、需要を上回る生産により、食べられる状態の食品が廃棄される「フードロス」が問題となっている。その一方で、生産数を減らすことで販売機会の逸失につながるケースもあり、食品業界は工夫を重ねてきた。

 両社は実験を通して、受注生産によるフードロス削減の効果や有効性についての検証を実施し、システムの開発と事業化を進めたいとしている。

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