オーケーの事情はどうか。関東で国道16号線内における1都3県の住民をターゲットに店舗を展開してきたが、そろそろ飽和状態が見えてきて、日本第2の大都市圏である関西に出ざるを得なくなってきている。
業績は絶好調だ。オーケーは非上場ながらも、決算を公開している。21年3月期の営業収益は約5090億円(同16.7%増)、経常利益は約314億円(同32.9%増)となっている。既存店売上高も12.5%増えていて、人口密度が高いエリアを選んで出店する効果が出ていて素晴らしい。店舗数は131店となっている。
オーケーの良さは、実際に社員が食べて、味と安全性に納得した商品を取り扱っていることだ。店内の棚の並び方は無機質だが、値札などにその商品のどこが良いのか、アピール点が書かれていて、買物の参考になる。価格交渉がしにくいそのカテゴリーのトップブランドでなく、2番手以下の商品を置くケースが多いが、選択した理由が明確なので顧客は試したくなる。
ウォルマートのような特売をしない、毎日お得な価格も特徴。ただし、業務スーパー、ラ・ムーのように自社製品が安いというより、ナショナルブランドの加工食品、グロサリーが安い。生鮮も決して悪くないが、それを目的として行く店ではない。オーケーの自社開発製品でコストパフォーマンスの高さを感じるのは、ワンコインのピザ、コーヒー豆、一頭買いの黒毛和牛などに限定される。
また、200円を払って会員になれば、酒類を除く食品が本体価格より3%安くなるのも魅力だ。オーケーは、JCSI(日本生産性本部・日本版顧客満足度指数)顧客満足度調査のスーパーマーケット部門で10年連続1位を獲得しており、非常に優れたスーパーだ。
このようにオーケーは、個性的で顧客からの支持も高い。これまで年間5〜7店くらい出店して、手堅く借金せず、1店舗ずつ成功させてきたイメージがあり、M&Aに興味があるように見えなかった。それだけに関西スーパーにここまで執着するのが意外なのだ。
ライバルである関東のディスカウンター「ロピア」が、Everyday Low Priceを旗印に昨年9月、大阪府寝屋川市に関西1号店を出店。ホームセンターの「島忠ホームズ」と組むなどして瞬く間に5店を出店して盛況なのが刺激になっているか。ぼやぼやしていたらロピアに適地を全部抑えられてしまう焦りもあるようだ。
関西スーパーは基本、大阪と神戸と阪神間しか店舗がない。人口密度が高い大都市近郊立地型のオーケーが親和性を感じ、白羽の矢を立てたと考えられる。
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