20年経った確定拠出年金なぜ普及しない? 利用者は成功体験、複雑さが課題(1/4 ページ)

» 2021年09月29日 12時22分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 確定拠出年金(DC)とは、自ら掛金を積み立てる私的年金の一種だ。当初日本版401kと呼ばれ、現在はDCと呼ばれることが多い。企業型DCのほか、個人型DCは2017年に「iDeCo」の愛称とともに全勤労世代が加入可能になり、利用できる人の幅が広がった。

 確定拠出年金制度ができてから20年が経過。その間「老後2000万円」問題などの影響もあり、自助努力で老後に備えようという意識の高まりから、利用者は940万人に達した。

確定拠出年金(DC)加入者は増加しているが、まだ労働人口の10%に過ぎない(フィデリティ投信資料より)

 しかし、これはまだ労働人口の10%に過ぎない。フィデリティ投信は、制度導入20年を機に1万2000人に対してDCに対する意識調査を実施した。そこからは、DCを利用している人が成功体験を得ている一方、制度の複雑さから利用を足踏みしている人も多くいるという課題が見えてきた。

DC利用者は運用が「うまくいっている」

 DCを利用している人の間では、39%が「運用がうまくいっている」と回答した。「うまくいっていない」はわずか1割に留まる。ただし、運用の善し悪しは、選択した投資先によって違いがあった。

DCの運用はほとんどの人がうまくいっている(フィデリティ投信資料より)

 投資信託のみで運用している人の47%が「うまくいっている」としたのに対し、定期預金などの元本確保型だけで運用している人は24%と、約2倍の差が出た。

 うまくいっている理由については、「市場環境が良かった」と捉える人が35%いた一方で、「長期運用を実践したから」と答える人も34%おり、60歳まで引き出せず長期投資が前提となるDCの仕組みが貢献しているともいえる。

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