利用者の運用がうまくいっている一方で、制度を利用しない理由は何なのか。最も大きい理由は「60歳まで引き出せないから。特に若年層にその声が大きかった」とフィデリティ・インスティテュート首席研究員の浦田春河氏は分析する。男性の30%、女性の36%がこれをDCの良くない点に挙げ、この傾向は若年層になるほど強かった。
年金という性格上、積み立てた資金は60歳になるまで受け取ることができない。若いほどいろいろなライフイベントが待ち受けており、その中で老後は最後にやってくるイベントだ。若いうちからDCにお金を入れてしまうと、緊急事態が発生したときに使えないのが怖いのではないか。
「投資の一般原則は、複利効果。これを生かすには長く運用しなくてはいけない。しかし今の制度は、若者をかえって遠ざけることになってしまっている」(浦田氏)
同様の制度を持つ米国では、こうした若者向けの対策が行われている。緊急時には自分のDC口座残高からお金を借りることができる。「このような設計を盛り込むと、もっと若年層を取り込めるのではないか」と浦田氏は指摘する。
若い人ほど早くリタイアしたい 日本人の退職準備は楽観的か
今なぜ若者がインデックス投資? 流行の陰につみたてNISAとYouTuber
投資をしている人が4割突破 反面、老後2000万円問題の功罪も
「お金に人生をコントロールされている」日本は国際比較で最多 フィデリティ調査
iDeCoの改正で逆に格差は拡大する?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング