iDeCoの改正で逆に格差は拡大する?専門家のイロメガネ(1/3 ページ)

» 2019年08月21日 07時20分 公開
[佐藤麻衣子ITmedia]

 老後は2000万円が不足する……金融庁の報告書が大きく話題になりました。資産運用に興味を持つ人が増え、結果的に証券各社でも口座開設の申し込みが大幅に増えているようです。

 そして先日は、私的年金である個人型の確定拠出年金、iDeCoに全ての会社員が加入できるように改正されると報じられ、自助努力が後押しされる流れになっています。(iDeCo加入全会社員に 年金、自力の備え後押し 日本経済新聞 2019年07月29日)

 勤め先の会社に企業型の確定拠出年金制度があっても、追加で個人型の確定拠出年金、つまりiDeCoに加入できるようになる改正です。この改正はまだ検討段階のようですが、実現すればいくつか制約があった会社員のiDeCoが使いやすくなります。

 「これからの時代は会社員ならみんなiDeCoに入った方が良い」というメッセージのようにも感じますが、実際はどうなのでしょうか? iDeCoには大きな節税メリットがあるため、一見、会社員にとっては朗報と思えますが、この施策は逆に格差を拡大させてしまう可能性もあります。

確定拠出年金には、会社の制度で会社側がお金を出してくれる企業型と、任意に加入して自身の収入から払い込む個人型・iDeCoがあります。企業型の加入者数は2019年6月末時点で716万人と、加入者数は右肩上がりで増加しています。今回の改正で、この加入者がさらに追加でiDeCoに入れるようになるわけですが、全てにメリットがあるかというと、実はそうではありません。
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