リテール大革命

24H営業の無人家電店、販売好調の陰に潜む「意外な弱点」とは?3つの疑問をぶつけた(1/3 ページ)

» 2021年09月30日 12時00分 公開
[熊谷紗希ITmedia]

 近年、コンビニや古着屋、本屋、果物店などさまざまな「無人店」の存在を耳にするようになった。盛り上がりを見せる無人店に新たに仲間入りしたのが、24時間営業の無人家電店「ゴジユウニ」だ。東京都大田区の蒲田駅から徒歩5分程度のところにある。

蒲田駅にある24時間営業の無人家電店「ゴジユウニ」

 木材が使われたスタイリッシュな外観は、家電店とは程遠く見える一方で、店内には冷蔵庫や洗濯機、テレビや電子レンジが置かれていた。

 店舗説明や製品の購入方法については、店内に設置されたモニターを見れば理解できるようになっている。価格は、電子レンジが5500円、冷蔵庫(60〜140リットル)と洗濯機(3.8〜7キログラム)が1万1000円、テレビ(24〜32インチ)が1万6500円と、製品ごとに統一されていた。カメラは店の外に2台と店内に5台が設置されていて、店員不在でもしっかりと成り立っているように見えた。

ゴジユウニ店内の様子

 ゴジユウニを運営するのは、横浜市を中心にリサイクルショップを展開するAKINAI。同社によると無人家電店は他に例がないという。無人家電店を始めようと思った理由について社長の山口翔嗣氏は、「ゴジユウニは7月8日にオープンしました。コロナ禍で外出自粛や三密回避が呼びかけられ、対面接客が難しい状況に。非接触型の店舗にすることで、売り上げ増につながると考えました」と話す。

 ビジネスモデルもシンプルだ。個人やコロナで廃業した宿泊施設、買取専任の事業者から買い取った家電を販売する。コロナ前と比較して家具・家電の買取依頼は20%ほど増えている一方、現在は約1カ月半で在庫の半分が売れてしまうペースだという。在庫を抱えるリスクも最小限に抑えられているようだ。

 本来廃棄されてしまう製品を買い取って販売することで、SDGsが掲げる「つくる責任 つかう責任」にもアプローチする狙いがあるという。

冷蔵庫10台と洗濯機12台(それぞれ1台と3台が売約済み)

 さすが無人店。店内の様子や話を聞いて、コストを抑えた収益性の高いモデルだと感じたものの、3つほど疑問が湧いてきた。「仕入れ価格は異なるはずなのに、販売価格が統一されているのはなぜ?」「家電のラインアップが少ないのでは?」「冷蔵庫とかって、そんなに頻繁に買い替えないのでは?」

 物珍しい無人店だから今はお客が入るけど、そのうち閑古鳥が鳴きそうと思い、疑問をぶつけてみた。

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