リテール大革命

店舗で試着して自宅に届く ザ・スーツカンパニーが新OMO型店舗で目指す姿とは4ブランドが集積(2/2 ページ)

» 2021年10月01日 10時15分 公開
[上間貴大ITmedia]
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物件費の抑制と幅広い顧客の獲得を狙う

 また、スーツは補正後に商品を受け取りに行く必要があったが、デジラボ試着室を経由して購入した商品は、同社のセンターから自宅への配送が可能となる。購入後は手ぶらで帰ることができ、受け取りに行く手間も不要とした。

 デジラボ試着室導入により、店舗の在庫数を4分の1まで減らすことができた。また、4ブランドを同じ店舗で展開することで物件費の抑制につながる他、幅広い年齢層を取り込む狙いもあるという。THE SUIT COMPANYのメインユーザー層は20〜30代。一方、UNIVERSAL LANGUAGEは30〜40代と、年齢層に違いがある。そこに女性向けブランドの「WHITE THE SUIT COMPANY」と、オーダーを導入することでより幅広い客層の利用が見込めるという。

スーツカンパニー オーダースーツコーナー

 同社が2021年5月に発表した中期経営計画では「ビジネスウェア事業の変革と挑戦」として、顧客接点拡大を目指したOMO戦略やデジタル基盤整備などのDX戦略と、オーダー、レディス、フォーマルといった成長分野の拡大戦略へ向けた投資を進め、最終年度の23年度には、ビジネスウェア事業で250億円の増収を目指している。

スーツカンパニー 青山商事中期経営計画「Aoyama Reborn 2023」より

 同社によると、コロナ禍でECの利用は好調に推移していて15年度比で3〜5倍となった。また、実店舗で商品を購入後、EC経由で2回目以降の買い物をした客は実店舗のみを利用しているお客に比べ、年間の購入率も増加する傾向にあるという。今後は実店舗とECの横断利用に向け、クーポンの配布などあらゆる施策を実施するとしている。

 また、成長分野であるオーダーにも力を入れている。同日からオーダースーツブランドである「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE'S」で、女性向けオーダースーツの受注を開始した。

スーツカンパニー 出所:プレスリリース

 同社は今後、都内を中心にTSC SQUAREの展開を進めていく方針だ。ビジネスウェアのカジュアル化やコロナ禍による在宅勤務の定着で大きな影響を受けているスーツ市場。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され「ウィズコロナ」に向けた社会の在り方が求められる中、同社が進める新しい購入体験と着用シーンの提案は受け入れられるだろうか。

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