家具・家電のサブスク「CLAS」の売り上げが、3倍ペースで伸びているワケ採算より「ビジョン」を優先(4/6 ページ)

» 2021年10月08日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

複雑なオペレーションを効率化させる工夫

 クラスのビジネスモデルでは、家具・家電を販売するメーカーと事業収益を分配するレベニューシェア契約を締結している。これは、対象の家具・家電をクラスが預かり、ユーザーからのレンタル利用が発生した場合に、売り上げをシェアする契約だ。メーカー側からすると手を動かさずに継続収益を見込めるだけでなく、新規顧客開拓にもなる好都合の仕組みであることから、メーカー側から提携を持ちかけられることが多いという。

 提携先を広げることには苦労しないが、クラスは受注、配送、返却、交換、修理といった一連のオペレーションをメーカーの代わりに担っている。自宅やオフィスで長期にわたって使用するものであり、あらゆる問い合わせや細々とした要望が常時発生しうるのではないか。

久保氏は、「プロダクトファースト」「ビジョンの浸透」を強調した

 「確かにオペレーションの難易度は高いです。ただ、顧客満足度の高い対応ができるようになって初めてアクセルを踏むというプロダクトファーストがポリシーなので、収集がつかないような混乱は生まれていません。

 また、創業のタイミングで複雑性の高い理想像を描き、そこに到達するために逆算思考でプロセスを作り込みました。具体例をあげると、商品を脚、天板、ネジなどパーツ単位で管理していて、発注・在庫管理・出入庫状況などが一気通貫した基幹システムを採用しています。一部、エクセル管理や手作業が含まれますが、ゆくゆくは自動化する予定です」

 プロダクトファーストの姿勢と徹底した効率化が、同社の複雑なオペレーションを支えているというわけだ。故障・破損にまつわるトラブルは一定確率であるそうだが、粛々と対応するに尽きるとのこと。

 「雑に扱われてしまう、経年劣化かどうかの判断が難しいなど懸念はありつつ、新規性の高いビジネスなのだからリスクはあって当然だろうと。スタートアップは割り切る姿勢がないと、身動きが取れなくなると思っています」

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