このように、中国の経済成長を支えてきた安価なエネルギー源である石炭火力が抑えられることは、生産活動や経済全体に大きな下押し圧力となる恐れがあります。株式市場への影響を考えた場合、しばらくはこのマイナス材料を織り込む時間帯が続くことが予想され、日経平均株価にとっても、目先は中国のこれらの問題が、上値をおさえる要因になると思われます。
なお、国家発展改革委員会は9月29日、国内の電力不足の状況を踏まえ、民生用と重要企業への電力供給を確保し、予告なしの電力供給停止を禁止するなどの対処方針を示しました。当然ながら、中国政府は景気が後退するまで温暖化対策を進めるということはありません。そのため、主要国の株式市場は、中国の成長ペース鈍化を一定程度織り込むことは予想されるものの、景気後退を織り込んで弱気相場入りする公算は小さいとみています。
旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。
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