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» 2020年09月11日 07時00分 公開

古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」:S&P495で分かる ブーム化する「米国株投資」に隠れた”歪み” (1/2)

SNSにおける米国株ファンの発信や、初心者向けの米国株投資本の出現などによって、日本の個人投資家にとっても、米国株投資が近年一層身近な投資体験となっている。しかし、S&P495とS&P500、そしてGAFAMを比較すると、「米国株がコロナからいち早く立ち直った」という触れ込みの”ウソ部分”が分かる。

[古田拓也,ITmedia]

 日本の個人投資家が米国株投資へ殺到している。

 米国株の取り扱いを得意とするマネックスグループの2021年3月期第1四半期決算資料によれば、マネックス証券における米国株の取引口座数は、この四半期に前年同期比で3.4倍に急増したという。米国株取引にかかる売買委託手数料収入も前年同期比で1.79倍の4億2500万円と急増しており、個人投資家による米国株への投資加熱がうかがえる。

 SNSにおける米国株ファンの発信や、初心者向けの米国株投資本の出現などによって、日本の個人投資家にとっても、米国株投資が近年一層身近な投資体験となっている。米国株ファンの中には、国内株式を持たず、運用資産の大半または全部を米国株に投資する者も存在するほどだ。その背景には、国内株式のパフォーマンス低迷があると考えられる。

 米国の代表的な株価指数であるS&P500と東証株価指数(TOPIX)を比較すると、S&P500がこの10年で3.11倍になっているにもかわらず、TOPIXは1.70倍と出遅れている。

 しかし、米国株が日本株を大きく上回るリターンをもたらす背景には、一種の歪(ゆが)みがあることを理解しておくべきだろう。そこで今回は、S&P社の指数を用いて、米国株に隠れた歪みを確認したい。

重要指数は「S&P495」だ

 米国株への投資を語る上で、近年注目度が増している指数が「S&P495」である。これは、S&P社公式の指数ではなく、S&P500から“ある企業群”を控除することで導き出される指数だ。その企業群とは「GAFAM」である。

 GAFAMとは、米国株時価総額ランキングトップ5の「グーグル(アルファベット)」「アップル」「フェイスブック」「アマゾン」「マイクロソフト」の総称である。S&P500に大きな影響を与えるこれらの企業を除いた「S&P495」を観察すれば、米国株全体の底力を確認できるとあり、足元で注目度が高まっている。それでは、S&P495のパフォーマンスはどうなっているのか。

GAFAMを除いた指数であるS&P495を見ると、実はTOPIXと同レベル オコスモ作成 GAFAMを除いた指数であるS&P495を見ると、実はTOPIXと同レベル

 S&P500指数を「GAFAM」と「S&P495」に切り分け、ここにTOPIXを追加して比較してみよう。そうすると、TOPIXとS&P495には過去10年でほとんどパフォーマンスが変わらないことが分かる。一方で「GAFAM」は、この10年で10倍近くに株価を伸ばしている。

 冒頭で「S&P500とTOPIXのパフォーマンスには倍近い格差がある」ことに触れたが、S&P495をみれば、その格差の大部分は「GAFAM」というスター的な銘柄のパフォーマンスによってもたらされた。つまり、米国株の個別銘柄への投資にあたっては、日本株と比べて”もうかりやすい”と単純に言い切ることはできない。

 足元の状態は、「日本株か米国株か」というよりも、「GAFAMか、それ以外か」だ。

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