Amazonなどで物販を行っている中小中堅の業者を買収して、海外展開などを行い事業を成長させる取り組みをしている企業がある。米国で急成長し、2021年から国内での活動も本格化させたセラシオだ。
100種を超えるさまざまな中小規模のブランドを買収し、売り上げは600億円規模。国内のECにおける黒船ともいえるセラシオとは何か?
セラシオの国内法人で、最高協業責任者(CPO)を務める小澤良介氏
セラシオは独自のブランドを持つ中小中堅のEC事業者を買収し、商品のブランディング改善やSEOなども含むマーケティング、また経営の効率化などにより事業をグロースさせる企業だ。また、そのブランドを海外にも展開させることで、大きく伸ばす。
「8割、9割は買収時よりも利益を伸ばしているという実績がある。2020年に買収した事業の年間利益の成長率は平均で2.56倍、営業利益率は平均で4.53%改善した」。セラシオの国内法人で、最高協業責任者(CPO)を務める小澤良介氏は、グロース効果をこう話す。
セラシオに事業を売却する側は、事業は好調なもののさらなる拡大に限界を感じていることが悩みだ。「(売却する企業は)数人規模のところが多い。ビジネスがうまくいってしまった結果、リソース不足になったり、仕事が増えすぎてたいへん。駆け込み寺としてセラシオにやってくる」(小澤氏)
逆に、事業が不調で畳みたいというところは、セラシオ側のメインターゲットではない。事業再生ではなく、好調な事業をさらに成長させてグローバル展開させるのが基本スタンスだ。
広告宣伝などのブランド価値増大、グローバルな販路拡大だけでなく、データ分析によって商品価値をアップさせる強みを持つ
例えばペット用消臭剤のあるブランドは、質の高さに目を付けたセラシオが買収。ボトルデザインを刷新し、広告運用を最適化、販売チャネルの多角化により、売り上げを前年から8.1倍に増やした。さらに、米有名ラッパーを起用したインフルエンサーマーケティングにより、ブランド価値の向上を図っている。
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