7月末からのプレオープン期間ではどんな成果があったのだろうか。石川佑樹社長は記者会見で、プレオープン後の約2カ月間でハンドメイドを作るクリエイターや自治体(福島県川俣町)などを中心に「日本全国津々浦々の個人・法人からの出店があった」と報告。「メルカリのマーケットプレースに新たな価値を出す事業者に多数出店してもらった」とした。
同社によると、先行出店した事業者のうち、57%がEC初出店で、中には月商1000万円を達成した事業者もあるという。また、取引履歴を分析したところ、6割以上が地方から商品が発送された取引だったことも判明。石川社長は「地方活性化にも貢献できるのではないか」とし「地方自治体と連携しながら、各地域に存在する価値あるものを全国に届けるお手伝いをしたい」とした。
これまで、フリマアプリを通じてC2Cの事業を拡大してきたメルカリ。17年7月にスタートし、19年6月に終了したライブコマース機能「メルカリチャンネル」を法人向けにも提供していたものの、B2C単独での事業はメルカリShopsが初めて。このタイミングでのB2C本格参入の背景には、小規模事業者を中心とした日本全体でのEC化対応への遅れがある。
経済産業省が21年に発表した統計によると、日本国内のEC化率は8.08%。市場としてのポテンシャルがあるにもかかわらず、多くの事業者がネットショップの開設に至っていないという。
コロナ禍でオンライン対応へのニーズが高まる中、「ネットショップ開設には一定のITリテラシーが必要で難しいという声や、開設してもなかなか売れないという課題があった」と石川社長。メルペイ加盟店へのヒアリング調査を踏まえ、月間利用者数2000万人というメルカリのプラットフォームとしての集客力や、アプリで培った出品の手軽さなどを活用したB2Cビジネスの展開を決めた。
「プレオープン期間では、想定以上の反響をいただき、使ってもらう中で、メルカリShopsでやろうとしていた需要への手応えも感じている」(石川社長)
プレオープン期間では配送面での改善を求める声が多く出たという。本格提供に合わせて導入する全国一律の送料や匿名配送が可能な「メルカリ便」の提供などを通じて改善を図る考え。石川社長は「他にもさまざまな要望をいただいている。(サービスのコンセプトである)『簡単に売れる』につながるよう改善していきたい」と意気込んだ。
事業を手掛けるソウゾウは、本業のフリマアプリ「メルカリ」の運営、メルカリ米国事業、決済アプリ「メルペイ」に次ぐ、“第四の柱”を作るべく、1月に新規事業開発特化型の新会社として設立されたばかりの子会社。シェアサイクルサービス「メルチャリ」を手掛け、2019年に解散した子会社「ソウゾウ」とは別会社。
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