「オンラインで目星を付けた商品を探しに来店したものの、その商品が店舗にない」といった状況は、顧客体験を大きく損なうと同時に企業にとっても重大な機会損失となってしまいます。
しかし、全てのチャネルで在庫情報を共有していれば、顧客も店舗スタッフも商品の在庫の有無を完全に把握でき、需要に応じて在庫を発注・移動するといった対応ができます。
実際、64%の消費者は、明確で分かりやすい商品情報があるかどうかで店を選んでいるそうです。このように、正確な在庫情報の管理は、顧客と企業の双方に利益をもたらし、顧客満足度の向上にも大きく寄与すると考えられます。
データを統合的に把握することで、企業は顧客とのあらゆる接点において顧客の行動を追跡できるようになります。これが何を意味するかというと、その接点全てが、顧客の再エンゲージメントや企業と顧客の関係性を深めるチャンスとなるということです。
例えば、顧客がまずGoogleの広告をクリックして商品ページを訪れ、そこから企業のアカウントを作成し、商品をカートに入れて、いったんPCの前から離れるとします。
その後企業側が、カートに入れた商品について、地域の店舗の情報も含めたパーソナライズしたDMを送ることで、顧客の購入を促せるでしょう。
私が経営するパロアルトインサイトにもオンラインと実店舗でのデータ統合、とりわけ顧客に関するデータを統合してより顧客の好みやニーズに寄り添ったマーケティング施策を打ち出したい、という依頼が増えています。オムニチャネルでの顧客データ統合がビジネスにおいて大きな価値を持つことを意味していると言えます。
また、ユニファイドコマースが導入されていない場合、商品を購入した店舗でしか返品・交換できない、オンラインで購入した商品はオンラインサイトが指定する場所へ郵送返却しなければいけない、という不便な状況が多々あります。それに対し、ユニファイドコマースを導入することで、オンラインで購入した商品を自宅近くの店舗で受け取ることや、反対にさまざまな場所の店舗での返却も可能になるでしょう。
このように、顧客の購入と返却における選択肢が広がることは、企業が顧客体験の向上を目指す上で大きな意味を持つと言えます。
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