組織内のシステムがプラットフォームにより統一されていれば、新しいスタッフの受け入れやトレーニングが容易になります。仮に、業務のために利用するシステムが複数ある場合、従業員はいくつものログイン名やインタフェース、機能を覚えなければならず、習得に時間を要し、手順が多いことでミスも多くなるでしょう。
一方、1つのプラットフォームで全てを管理すれば、従業員は直感的に技術を学ぶことができますし、手順が簡素化されることで失敗も発生しづらくなり、従業員の満足度も向上させることができます。これは、従業員の離職率が高い企業にとっては特に重要なことです。
ちなみに、前述のAmerican Freightのケースでは、過去には2週間かけていた店員の研修がマニュアルなしで数時間で済むようになったそうです。
また、在庫の更新や顧客情報の追跡が自動化されているため、従業員が管理するデータの入力量が減り、入力ミスのリスクも軽減されます。American Freightでは統一システムの導入で使いやすさが向上したことで、一人あたりの顧客の会計にかかる時間も大幅に短縮されたといいます。
このように、ユニファイドコマースを成功させるためには、店舗上のPOSシステムや自動発注システム、在庫管理システム、顧客管理システム、そしてオンラインストアのバックエンドなどを全て関連づける必要がありますが、最近ではそれをパッケージで提供する企業も増えています。そのため、導入する際の比較対象も多く、取り入れやすくなっています。
また、顧客体験をオンライン(ECサイト)とオフライン(実店舗)問わずにシームレスに設計することは、会社の規模や展開する店舗数が多いほど複雑化することが予想されるため、早めに取り組むことが特に大事だとも言えるでしょう。
パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITmedia ビジネスオンライン「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。
著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
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