それにしても、なぜアニホックは往診サービスを始めたのだろうか。金銭的な話をすると、クルマで来てもらうよりも、ペットを病院に連れていって、医師に診てもらったほうが安い。にもかかわらず、このビジネスを始めたということは、「往診で診てもらいたい」と思っている人が「たくさんいる」と判断したからだろう。
ちょっと調べたところ、「往診で診てもらいたい」人がたくさんいるのではないか、と感じられるデータが出てきた。その一つに「犬猫の高齢化」がある。ペットフード協会の調べによると、医療技術の発展や飼育環境がよくなって、ペットの“長寿化”が進んでいる。例えば、お年寄りの大型犬を病院に連れていくのは、想像するだけで大変である。電車やバスに乗せるわけにはいかず、歩いて連れていこうとしても体調によってはなかなか前に進んでくれない。
また、猫を連れていったものの、待合室には犬だらけのこともある。そうした状況に、ペットがストレスを感じてしまうかもしれない。さらに、新型コロナの影響で、飼い主も「密なところで、長時間待ちたくない」という気持ちもあるはず。
このほかにも、さまざまな理由で「往診車」を選ぶ人がいる。夫婦共働きで診察時間内に連れていくことができなかったり、飼い主が高齢で病院に行くことが難しかったり。そうした人たちが往診を選んでいるようだが、クルマのナカはどうなっているのだろうか。使用しているのは、トヨタのタウンエース。後部座席に診察台を置いていて、照明を設置。診察に欠かせない機械が並んでいて、さながら「小さな診察室」といった感じだ。
クルマのナカでもソトでも、基本的にできることは同じ。血液検査や超音波の検査などを行うことができるが、手術はしていない。「簡単な手術はやろうと思えばできますが、その後、入院する必要があるので、クルマのナカではやっていません」(アニホックの獣医師、藤野洋さん)とのこと。
往診の場合、クルマのナカまたは家のナカ、どちらを希望する人が多いのだろうか。いまのところ、圧倒的に「家のナカ」が多いそうだ。「『往診=家のナカ』と考えている人がまだまだ多いからではないでしょうか。あと、クルマのナカで診てもらうことは、ペットにとって環境が変わることになりますよね。飼い主さんは『できるだけストレスを与えたくない』という気持ちが強いので、家のナカでの治療を希望する人が多いのです」(藤野さん)
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