動物病院の「往診車のナカ」はどうなっているのか 利用者がじわじわ増えている理由週末に「へえ」な話(3/3 ページ)

» 2021年10月09日 08時08分 公開
[土肥義則ITmedia]
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ミスマッチが解決すれば

 アニホックには医師3人がいて、診療エリアは1都3県(東京都内23区を中心に、東京都下、神奈川県北部、埼玉県中部・南部、千葉県西部も一部往診可能)である。収益が上がれば、規模を拡大させることも考えていて、「特に地方都市で往診をしている動物病院は少ない。そうしたところでニーズがあると思っています」(藤野さん)

家で診察している

 現在の単価は、1万5000円ほど。1件で複数のペットを診ることもあって、そのときには5万円ほどになることも。往診の場合、効率よく回ることが難しく、移動のことを考えると、「1日5件ほどは回りたい」という。その数字が見えてくれば、今後の事業拡大も視野に入ってくるようだ。

 ここまで見てきたように、ペットの往診サービスは、まずまずの滑り出しといえそうだ。とはいえ、課題もある。たくさんの人に知ってもらうことだ。「ペットを家で診てくれる。クルマのナカでも診てくれる」ことを知ってもらうには、まだまだ時間がかかりそうである。

ペットの往診サービスは拡大するのか

 先述したように、「わが家のペットを診てもらいたい」といったニーズはある。にもかかわらず、なぜ広がりを見せてこなかったのだろうか(筆者の知人・友人に聞いたところ、「往診で診てもらったことがある」人はいなかった)。その要因の一つとして「個人で運営されているところが多いからではないでしょうか」と、藤野さんは指摘する。「いますぐ、ワンちゃんを診てもらいたい」という思いで連絡をしても、医師が往診をしている(またはなんらかの仕事をしている)と電話がつながらないといったケースが少なくないようだ。

 診てもらいたいのに、診てもらえない。診たいのに、診ることができない。もちろん、診察の予約であればインターネットを使えば解決できるわけだが、人手不足を解決することは難しい。こうしたミスマッチという課題に対して、組織として解決することができれば、新しいビジネスとして大きくなるのかもしれない。

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