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コラム
» 2021年10月22日 07時00分 公開

改正個人情報保護法、業界で分かれる対応 DX企業はどう受け止めているのか連載・DX時代のプライバシー(1/2 ページ)

2022年4月に全面施行される改正個人情報保護法。DXを推進している企業、パーソナルデータの利活用を進める企業は、今回の改正をどのように受け止め、対応しているのか。

[篠宮輝(PwCコンサルティング合同会社),ITmedia]

 2022年4月に全面施行される改正個人情報保護法について、規模の大小はあるとはいえ、大半の企業が対応を行っていると思われる。今回の法改正は、17年に同法が見直しされた際に設けられた、いわゆる「3年ごと見直し規定」を受けた改正だ。時代の流れ・社会の要請を反映した対応と考えられる。

 本改正法にはさまざまな見方があるが、世界的な個人情報・プライバシー保護の潮流や日本におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の本格化を踏まえ、本人の権利や個人情報取扱者の義務がより明確になったものと筆者は捉えている。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 PwCコンサルティング合同会社では、21年6月に日本で事業を行う企業に勤める306人に対し、改正法への対応状況についてのアンケート調査を実施した。本稿では、DX推進企業・パーソナルデータの利活用を進める企業が、どのように今回の改正を受け止め、対応しているかを述べる(調査結果全体はこちらから)。

改正法への対応状況

 図表1は、業界別の改正法対応への着手状況を示している。金融(着手済79%)、医療(同56%)など、よりセンシティブかつ大量の個人情報を取り扱う業界では対応が進んでいることが見て取れる。B2B事業が多数を占める製造(同40%)や運輸・物流(同36%)では、一般消費者の個人情報を取得していないなどの理由で、改正法への対応が劣後している可能性がある。

photo 図表1:業界別の改正法への対応状況

 DXの推進という意味では、データとテクノロジーの利用により、D2C(Direct to Consumer)やスマートX(Xにはシティーやカーなどが入る)などの発想から、バリューチェーンやサプライチェーン全体を見直し、新しい価値が提供できるかが問われる。

 しかしながら、これまでのビジネスモデルで消費者/生活者との接点が少ない業態などでは、個人情報保護/プライバシー保護の理解がなく、デジタル/データ戦略・施策を策定するにあたり、パーソナルデータの利活用を敬遠してしまうケースも見られる。

 今回の調査でも、改正法対応の阻害要因として「専任部門がない」「人員や予算の不足」「経営層の理解が不十分なため」などが挙げられたが、対応が遅れている業態にこそビジネスの機会があり、個人情報保護/プライバシー保護が差別化要因になりえる点は忘れてはならない。

 また、改正法対応を着実に進めている企業は、社会・消費者の期待に応える対応を行っていることが、調査結果から見て取れる。

 一例にはなるが(図表2、3)、プライバシーポリシーを、絵・漫画・動画などで、より分かりやすく伝える工夫をしたり、WebサイトやアプリケーションのUI・UXを工夫するなどの取り組みを進めている。情報資産の保護だけに終始することなく、ユーザーコミュニケーションまで含めて、プライバシー対応を最適化しようとする試みと考えられる。

 その一環として、最近ではプライバシーセンター(企業・グループのポリシーや問い合わせ先、オプトアウト機能のまとめ)、データコントロール/プライバシー設定機能の実装などが行われている。

photo 図表2:絵・漫画・動画などを利用し、プライバシーポリシーをより分かりやすく伝えるための工夫
photo 図表3:プライバシー保護の強化やユーザーフレンドリーな対応にあたってのWebサイトやアプリケーション上でのUI・UXの工夫
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