日立と東芝、ソニーとパナ 三度のパラダイムシフトが分けた「昭和企業」の明暗どこで差がついたのか(4/4 ページ)

» 2021年11月01日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

 戦後日本の経済成長を支えてきたわが国を代表する大手企業は皆、優に半世紀を超す歴史を刻んでいます。すでに20年前の時点で過去のものになりつつあった昭和の感覚は、例えばコンプライアンスやガバナンス、アカウンタビリティーが日本実業界の常識になるにつれ、もはや完全に過去のものになっているのです。

 昭和大企業が、人間に例えればビジネス界で自らの実年期、壮年期をしっかりと生き続けていくためには、古い考えに引きずられることなく新しい時代にのっとった思想の下で新たな舵を切れなければただ消え去るのみでしょう。その意味から約10年ごとに訪れる経済的なパラダイムシフトは、古い体質を引きずる企業に対する変革対応への警鐘でもあるともいえます。昭和の終焉から数えて三度目の大きなパラダイムシフトを迎えた今、昭和体質を引きずる企業にとってはこれがラストコールであるのかもしれません。

次なるパラダイムシフトは?(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

 片や既に旧体質を払拭(ふっしょく)して次なるステージへ駆け上がる昭和企業、片やそこから抜け出せずにもがき続ける昭和企業。後者は決して東芝やパナソニックに限った問題ではありませんが、体質を変えられない昭和企業たちが次なるパラダイムシフトを乗り越えることができるのか、それが大きな不安材料であることは間違いありません。そしてその次なるパラダイムシフトが約10年後のことなのか、あるいはもっと早くに訪れるのか。彼らの昭和体質払拭に残された時間は、決して多くはないでしょう。

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役

横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。銀行では企画、営業企画部門を歴任し、06年支店長職をひと区切りとして円満退社した。その後は上場ベンチャー企業役員などとして活躍。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーをする傍ら、出身の有名超進学校人脈や銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆者やコメンテーターを務めている。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.