渋谷で「5000円乗り放題」を始めて、どんなことが分かってきたのか週末に「へえ」な話(2/3 ページ)

» 2021年11月13日 08時10分 公開
[土肥義則ITmedia]

停留所をどこに設置するか問題

 mobiを4カ月ほど運営して、見えてきた課題もある。それは「停留所をどこに設置するか問題」だ。サービスを始める前、そのエリアにどういった属性の人たちが住んでいるのか、その人たちは普段どういった移動をしているのか、子育て世代の人たちはどのような悩みを抱えているのか。調査データだけでなく、ヒヤリングなども行って、停留所をきめ細かく設置した。

一度走行したルートは、履歴から予約できるようにした

 駅、商業施設、学校、スーパー、コンビニなど、多くの人が利用するところを予想して、停留所を決めていき、その数は100カ所に達した。半径2キロメートルほどの移動を考えると、「100カ所は多すぎるのでは?」と思ったが、ユーザーの反応は違った。「こっちにも停まってほしい」「10メートルずらして」などの声がたくさん出てきて、いまは150カ所に。

 事前調査では見抜けなかったところに、停留所を設置していったわけだが、今後はどうするのか。エリアは限定されているので、無制限につくるわけにはいかない。使われていないところをあぶりだして、精査していくことも考えられるが、担当者の成島千絵さんは「データを見ると、まんべんなく利用されていまして、統廃合することが難しい。ただ、どんどん設置していくと選択肢が増えてしまって、逆に使いにくくなることも考えられるので、停留所はどこに設置するのがベストなのかを模索しながら、進めていかなければいけません」という。

本人だけでなく家族やサブスクを登録していない友人なども予約可能

 例えば、渋谷駅は利用者が多いので、停留所をたくさん設置している。だが、絞り込みすぎると、JRを利用している人にとっては便利だけれども、東急や京王を使う人にとっては不便になることも考えられる。また、駅周辺は一方通行の道路がいくつかある。アプリの地図を見ると、直線距離は近いのに、クルマに乗ると遠回りしなければいけないところもある。道路の反対側から乗車すれば目的地に速く着くところもあるが、現時点のシステムで利用者に「〇〇に行くのであれば、〇〇停留所から乗ってね」といったオススメ機能は搭載されていない。

渋谷エリアの停留所

 このような話をすると、「地元の人が利用しているのであれば、慣れているはずなので、そんな機能はいらないでしょ」と思われた人もいたかもしれない。しかし、初めて行くところであったり、方向音痴の人であったり、複雑な道路事情もあったりするので、よりスムーズな移動を考えれば「最適な停留所をオススメしてもらいたい」と思っている人もいるはずなので、開発が急がれる。

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