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成功する起業家にはなぜ“うつけ”が多いのか? 常識をやぶり、既成概念から自由に羽ばたく方法大愚和尚のビジネス説法(4/4 ページ)

» 2021年11月17日 12時00分 公開
[大愚元勝ITmedia]
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 だからこそ、すべての「フリ」を捨てて、「装飾」を捨てて、愚かな自分と、徹底して向き合う修行に、意味があります。それなのに、また、賢くなろうとしていた。同期の修行者と比べて、出来る奴を演じようとしていた。短期間で、効率よく、お釈迦さまになろうとしていた。

 「どうせ愚か者なんだから、自分の愚かさを隠そうとするな。賢くなろうとするな。愚かさを徹底的に自覚して、愚かさを超えよ」。師匠から送られてきた手紙に書かれた「大愚」の文字から、師匠の声が聞こえて来るようでした。私の内側で、これまで必死に守ってきた、愚かな自分を覆い隠すための擁壁(ようへき)が、崩れ落ちた瞬間でした。

 その日から、私は、全てを受け入れられるようになりました。

成功者は、自分が愚かであることを理解し、隠さない

 自分に対する、他者からの注意も、批判も。自分に振られた、仕事も、役割も。自分に降りかかる、チャンスも、苦難も。自分が出会う、好きな人も、嫌いな人も。あらゆることの見方が、見え方が変わったように感じられました。

 これまでと同じものを見ているのに、これまでと同じ風景を見ているのに、これまでと同じ人に会っているのに、これまでと同じ仕事をしているのに、あらゆるもの、ことが、新鮮に、興味深く思えるのです。

 意地、見栄、妬み、嫉み、欲、怒り――。自分の愚かさを見つめると、これまでいかに、愚かさのフィルターを通して、ものごとを見聞きしていたか、に気づきます。

photo 偽らず、恥を恐れず前進することで、違った景色が見えてくる

 成功者と呼ばれる人たちは、私たちと全く違った世界に生きているわけではありません。私たちと同じものを見、同じものを聞き、同じものに触れているのに、全く違った感性でものごとを捉え、私たちの想像をはるかに超えた価値を、社会に生み出していきます。

 その理由は、彼らに能力があるから、ではありません。ものの見方、考え方、取り組み方が、私たちとは違うのです。

  • 知らないことは、知ったフリをせず人に聞く
  • 新しい出会いやものごとに興味を持ち、柔軟に受け入れる。常識や固定概念にとらわれず、失敗を恐れない
  • すぐに、簡単に、ものごとを達成できるとは思わない
  • 多くのことに興味を持ちながらも、今なすべきことに、優先順位をつけて、情熱をもって集中する

 成功者の共通点を見ていると、彼らが自分を万能な賢者だとは思っていないことが分かります。

 自分を愚か者だと知っているからこそ、自分に固執せず、素直に他人の意見に耳を傾け、ありのままの現状を見て、自由に発想できるのです。真の成功とは、必ずしも、知名度や、社会的地位、稼いだお金の額や、所有している車の数、住んでいる屋敷の大きさとは関係ありません。

 自らの目的に達した者。自らの目的を明らかにし、その目的を成就した者――その者を、真の成功者と呼びます。

 そして、真の成功者は知っています。成功を妨げるものは、他人や環境ではないことを。自らの成功を妨げるものは、自分自身の愚かさであることを。

著者:大愚元勝(たいぐ げんしょう)

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佛心宗大叢山福厳寺住職。株式会社慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。駒澤大学、曹洞宗大本山総持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。

HPにて「お悩み相談」を受け付けているほか、YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」で国内外から寄せられた相談にも対応する。著書『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語』(扶桑社)、『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え』(飛鳥新社)など。


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