急成長スタートアップはどのSaaSを使っている?:LegalForce編あの企業が使うバックオフィスSaaS(2/3 ページ)

» 2021年11月24日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

会計はfreeeで統一、請求書にLayerX

 まず会計周りのSaaSはfreee会計で統一した。「内部統制を構築する狙いがあった。承認のワークフローを組めるのが選考点の1つ。freeeはクセは強いが、慣れてしまえば、債権管理、債務管理は使いやすい」と、導入を進めた倉本佳宇経理財務Unit Leaderは話す。

 実はfreeeを導入したのはこの4月だ。それまではマネーフォワード クラウド会計のシリーズを使っていたという。当時は安価なマネーフォワードのプランを使っており、事業規模拡大に伴い再選定のタイミングでfreeeに決めた。マネーフォワードは、機能ごとにパーツが分かれているのは便利だが、導入初期にうまく全体業務フローを設計して導入できておらず、データ連携の部分が課題だったという。

 昨今導入が増加している請求書受領SaaSにはLayerXを使っている。事業の拡大とともに請求書が各部門やマネージャーに届くことが増えた。「社内はチャット(Slack)だが、外からはメール。そのため請求書の回収が漏れてしまうことが多くなってきた」(倉本氏)ため、9月に導入を決めた。

 請求書受領SaaSには複数の選択肢があったが、LayerXを評価したのはワークフローだという。「ワークフロー機能が良い。組織の規模などが変化すると、必要な機能も変わる。LayerXは柔軟性が高く設定ができるので使いやすい」(倉本氏)

財務経理系SaaSの導入を推進した倉本佳宇経理財務Unit Leader

労務管理はSmartHRを中心に

 労務管理システムはSmartHRを使っている。「創業2年目の10月に導入している。当時の規模では無料で使えたのが大きかった」と成定優執行役員CHRO(最高人事責任者)は話す。

 「社員数数名だったころのアーリーフェーズから、現在の弊社の企業規模でも問題なく活用できている点は大きい」と成定氏。今後、従業員数が増加していくと、従業員一人当たりの単価で計算して安いところに変更する可能性もあるという。

人事総務系のバックオフィスSaaSを管轄する成定優執行役員CHRO(最高人事責任者)

 SmartHRの次に導入したのが、採用管理ツールのHERPだ(19年2月)。急拡大するスタートアップにとって、人材獲得は最重要なミッションでもある。成定氏が評価しているのは、採用媒体やツールとの豊富な連携だ。「重視したのはWantedlyやSlackと連携していること。ほかと比べて、連携先が多い」ただし、ダッシュボードなどのレポート機能が弱いことなどは改善課題として考えている。

 20年10月から導入したのが、人事評価システムのHRBrainだ。それまではスプレッドシートを使って評価管理を行っていたが、「何かないといけない」ということで選定。導入が比較的手軽で、SmartHRから従業員名を登録できるなど、設定の量が少ないことが評価点だという。

 勤怠にはKING OF TIMEを使っている。これは、経理がfreeeを導入したのに併せて、給与計算にfreee人事労務を採用し、freeeが推奨している勤怠管理SaaSとして決定した形だ。成定氏は「この価格帯で入れられるものとしては最高」だと評価する。特に、同社はフレキシブルな働き方を用意しており、コアタイムなしのフレックスでみなし残業代込みの勤務体系だ。「これに対応する給与計算は珍しかった」(成定氏)という。

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