「働かないおじさん」が、再び注目されているらしい。
“らしい”と伝聞系にしたのは、「働かないおじさん問題」「50代問題」「希望退職問題」などは決して目新しい話題ではなく、「この数年、ずっと言われちゃってますね」という問題だと認識しているからです。
その一方で、コロナ禍でリモート勤務が拡大したことや、ジョブ型が注目を集めていること、加えて、希望退職という名の肩たたきが「40代に迫っている!」という現実から、「働かないおじさんについてコメントが欲しい」だの、「50代はなんであんなにディスられてしまうのか」だの、「なんで、働かないおじさん化してしまうのでしょうか?」だのといった取材が、私の元に相次いでいます。
良きにつけ悪しきにつけ、社内のあちらこちらが“おじさん”だらけで、目に付く存在なのでしょう。成人人口の10人中5.7人が「50歳以上」ですから、仕方ないことではありますが。
それと同時に、一向に上がらない賃金にあえぐ若手からすれば、「大したこともやってないように“見える”」のに、自分より給料が高いことに腹が立つ。さらに、今年4月から「70歳までの雇用」が努力義務になったことで、企業も中高年の扱いに悩み、つい、本当につい、「働かないおじさん」という50代社員の代名詞と化した切ない言葉を使って、鬱憤(うっぷん)をはらしているのかもしれません。彼らには、ベテラン社員は「モチベーションが低く“見えて”しまう」のです。
実際には、50歳をすぎたからといって、突然、「働かないおじさん」になるわけではありません。50歳以上だけが会社にしがみついてるわけでもなければ、50代が40代より仕事ができないわけでもないはずです。ましてや、50代=PCが使えない、 ITに疎い、とも限りません。
なのに“50代社員”とラベリングされた途端、「コストがかさむ」と揶揄(やゆ)され、「50代より、若手」「そうそう、使えるのはZ世代!」だのと、あたかも年齢が能力を左右するがごとき言説が主張され、50代が厄介者扱いされている。
これって「年齢差別」だと思うわけです。
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