サントリーホールディングスの新浪社長の発言をきっかけに、45歳定年制が話題になり、その賛否の議論が展開している。人事コンサルタントである私の関心は「定年制」という言葉ではなく「45歳」に向いた。なぜ、「45歳」なのかということである。
その背景には、日本企業が長年行ってきた人事制度の慣習があるのではないだろうか。その考察と人材の流動化の可能性について考える。
日本の人事の年功化の問題は、かなり前から指摘されている。その年功化の原因には昇格人事があると考えられる。人事制度の運用は主に資格等級制度に基づいて行われるが、その等級が上がることを昇格という。
昇格は人事評価や上司推薦などが反映されて行われるが、重要なのは下記の2つの時期だ。
(1)昇格のスピードに差が表れる時期
(2)ある等級以上に昇格できるか否かの差、つまり昇格の選抜差が生ずる時期
昇格は人事評価と連動している場合が多いので、優秀な評価を得れば昇格のスピードは速くなるが、人事評価が低いと遅い昇格となる。ポストによっては、昇格できる人とそうでない人が出てくる。
このように昇格に明確な差が生ず時期が、入社何年目ごろになるのかがその国の慣習が反映されるポイントとなる。
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