2月から9月にかけて計8回発生したシステム障害を巡り、金融庁は11月26日、みずほフィナンシャルグループ(FG)とみずほ銀行に対し、業務改善命令を下した。同庁は「短期間に複数のシステム障害を発生させ、日本の決済システムに対する信頼性を損ねた」として、再発防止策や経営責任の明確化などをまとめ、2022年1月17日までに提出するよう、みずほFG側に求めている。
同庁はシステム障害の原因について「障害対応の検証が不足」「基幹システムの保守管理態勢が未整備」などと指摘。経営陣に対しても「IT現場の実態を十分に把握・理解しないまま、MINORI(基幹システムの名称)が安定稼働していると誤認し、システムの安定稼働に必要な事項を十分に洗い出さなかった。保守・運用に必要な人員の配置転換や維持メンテナンス経費の削減などの構造改革を推進した」と批判した。
同庁は同行などの組織的風土に、システム障害を多発させた原因があると見ているようだ。同庁はみずほ側が構造改革の際に「コストの最適化を強調し、IT現場の声を十分に拾いきれていなかった」「高度な専門性が求められるCIOの人選や候補者育成の指針となる人材像を明示的なものとして策定していなかった」などとガバナンス上の問題点を指摘した。
同行は02年と11年にもシステム障害を起こしており、同庁は「今回の問題は過去の問題にも通底する。過去の教訓を踏まえた取組みが継続されていない」「自浄作用が十分に機能していない」と分析。システム障害多発の真の要因を(1)システムに係るリスクと専門性の軽視、(2)IT現場の実態軽視、(3)顧客影響に対する感度の欠如、営業現場の実態軽視、(4)言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢ーーと結論付けた。
こうしたことを受け、同庁は再発防止策の他、業務改善計画の取り組み状況を22年3月末を初回とし、3カ月ごとに提出することも、みずほFGとみずほ銀に求めている。
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